セキスイハイムの基礎コンクリートの品質管理について
何事も基礎基本が大事と言われる通り大切な部分です。
建物の構造だけでなく基礎も大切に施工しています。
コンクリート打設前(受入前)に現場で行う3つの試験
1.スランプ試験(コンクリートの性状・固さを調べる)
検査の内容
「スランプ」という言葉をどこかで聞いたことあるのではないでしょうか?よくスポーツ選手などが、成績が振るわなくなると「スランプ」に陥ったなどと表現するように「スランプ」とは「落ち込み」を意味します。30㎝のコーン状の容器にコンクリートを詰め、容器を外した際にコンクリートがどの程度落ち込むかを検査します。セキスイハイム東海の規定では、15㎝(±2.5㎝)の範囲に収まることを定めています。
検査の目的
コンクリートが固すぎると、「ジャンカ」という豆板状ででこぼこの穴だらけの部分ができてしまう恐れがあります。逆にコンクリートが柔らかすぎると、分離して強度が低くなってしまう恐れがあります。適切な柔らかさで作られているかを確認します。
2.空気量試験
検査の内容
その名の通り、コンクリート内の空気の量を測定します。
左記写真の容器内にコンクリートを充填し、測定をするシンプルな検査です。
セキスイハイム東海の規定では、空気量を4.5%(±1.5%)の範囲に収まることを定めています。
検査の目的
コンクリート内の空気の量が多すぎると、強度が弱くなります。
逆にコンクリート内の空気の量が少なすぎると冬場などはコンクリートが凍結しやすくなりひび割れなどの原因となります。空気量が規定の範囲内かを確認します。
3.温度測定
検査の内容
その名の通り、コンクリートの温度を測定をするシンプルな検査です。
セキスイハイム東海の規定では、コンクリートの温度が35℃を超えないように定めています。
検査の目的
気温が高く日射も厳しい夏場では、必然的にコンクリート温度が上がります。コンクリート温度が高いと、運搬中のスランプ低下、コールドジョイント(先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンク リートとの間が完全に一体化していない継目)やひび割れの発生、強度や耐久性の低下につながる可能性があります。
コンクリートは化学反応で固まります。温度が高くなればなるほど、そのスピードは速くなります。「コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が25℃未満のときは120分、25℃以上のときは90分とする」とJASS5(日本建築学会発行鉄筋コンクリート工事建築工事の仕様書)では規定されています。
ですので、この温度検査と同じくらいコンクリート到着時の伝票確認も非常に重要な作業の一つとなります。(出荷時間・到着時間の確認・打設時間の管理)
コンクリート打設後28日目に行う「圧縮強度試験」
コンクリートの強度が規定通りに発揮されているかを試験
検査の内容
コンクリート打設時に直径10㎝の試験用のコンクリートを採取します。
採取したコンクリートは試験場に運ばれ、表面を平らにする処理を経た後に、20℃に保たれた水の中で28日間保存されます。(同じ条件で強度を発現させる為)
28日後に、圧縮試験機で上から圧力をかけ、何tの荷重に耐えられるかを試験します。
検査の目的
セキスイハイムでは設計基準強度を24N/㎟と定めています。これは、1㎝角のコンクリートで240㎏の重さを支えられるということです。(写真にある試験用のコンクリートで約30tもの重さに耐えられます)
実際には設計基準を上回るために、判定基準強度(調合管理強度)を+3~6N/㎟(季節によって変わります)としています。
現場で打設したコンクリートが化学反応を終え、固まった際に建物の重さや地震の際にしっかりと支えられる強度が実際に出ているかを試験します。
試験結果の管理
1邸1邸試験された結果は成績書で全邸管理されています。
ここまで徹底した品質管理をする理由とは?
コンクリートはJIS規定に則った品質管理を各コンクリート会社さんが行っています。コンクリートを出荷する際に、各工場内で品質のチェックを行っています。
しかしながら、受け入れる側が何もチェック体制がない状態では不十分と言わざるを得ません。
実際に先日も神奈川県川崎市のコンクリート製造業者による不正が発覚しました。
大雪で発生した生コンのロスを減らすために、禁止されている余ったコンクリートを混入して出荷してしまったということです。
お互い緊張感をもって仕事をすることで、上記のような品質を満たさない材料を使うリスクを減らして、皆様に安心・安全な家を届けられるように企業努力を重ねています。