二世帯住宅を聞くとみなさんどのようなイメージをお持ちでしょうか?
「にぎやかで楽しそう」「困ったときに助けあえる」「うまくやっていけるかしら?」「ストレスが溜まりそう…」などいろいろな意見があると思います。
建築費が抑えられることや、子育てや介護で支え合えるなどプラスな面を理解できるものの、本当に一緒に住めるのかどうしても不安になってしまいます。
こちらの記事では実際に二世帯住宅にお住まいの先輩たちの意見や間取りを参考にしつつ、二世帯住宅を建てるうえでの注意点やポイントをご紹介します。
二世帯住宅とは?
そもそも二世帯住宅とは?
二世帯住宅とはその名の通り、親世帯と子世帯など2つの世帯(家族)が一緒に暮らす住宅のことを指します。
その他にも兄弟世帯同士や祖父母世帯と子世帯などの二世帯住宅もありますが、世の中の二世帯住宅のほとんどは親世帯と子世帯が同居するタイプです。
また、祖父母世帯・親世帯・子世帯の三世帯が一緒に暮らす三世帯住宅(多世帯住宅)も存在します。
二世帯住宅を選ぶ理由の変化
二世帯住宅のかたちは、元々は家族みんなで農家をしながら生計を一にする「同居」の形から始まりました。
その後、経済成長による発展とともに都市部の移住が増加。
移住の増加につれ、都市部の地価が高騰して土地を購入することが難しくなることで、生計を別にしながらも1つの家で暮らす「二世帯住宅」へとかたちが変わっていきました。
また最近では、
- 建築価格の高騰による経済的負担の軽減
- 専業主婦世帯の減少と共働き世帯の増加による子育ての支え合い
- 親世帯への介護を含めた生活サポート
などの理由で二世帯住宅を選ぶ理由が変化しています。
「二世帯住宅」と検索してみると、ネガティブワードが目につくが…実際はどうなのか?
検索エンジンで「二世帯住宅」と関連して検索されるキーワードを調べてみると「デメリットだらけ」や「後悔」「やめた方がいい」といったワードが多く検索されていることが分かります。
これは、血のつながりのない者同士が一緒に暮らすということは簡単ではなく、事前に配慮をしておかないと失敗や後悔をしてしまう可能性が高いことを表しています。
一方で、「家族がひとつ屋根の下に暮らしているという安心できる」「共働きのため、子どもの面倒を見てもらえて助かる」「親が将来的に体を悪くしたときにすぐにサポートできる」などのポジティブな意見も出てきます。 その差はどこにあるのでしょうか?一緒に考えていきましょう。
二世帯住宅には共有(分離)の度合いで3つのパターンがある
そんな二世帯住宅ですが、住まい方によって「完全共有型」・「一部共有型」・「完全分離型」の大きく3つのパターンに分類されます。それぞれ見ていきます。
・完全共有型
完全共有型とは、個室は家族の分だけ用意するものの、玄関やキッチン、トイレ、浴室・洗面などの空間や設備はすべて共有する二世帯住宅です。
基本的にすべての空間を共有するため、親世帯と子世帯の交流する機会が最も多く、一緒に暮らしている大きな家族というイメージの二世帯住宅です。
・一部共有型
一部共有型とは、それぞれの世帯の家族分の寝室を用意しつつ、一部の空間を共有して使う二世帯住宅です。
一部共有型をさらに分類すると、
- 玄関、洗面・浴室は共有するものの、LDKは別々で配置する「玄関・浴室共有型」
- 玄関のみを共有してそれ以外のLDK、浴室・洗面はそれぞれの別々に用意する「玄関のみ共有型」
の2つが多いケースです。
そのほかには、LDKを別々で配置するものの片方はミニキッチンにするケースや、主なLDKはひとつであるものの子世帯だけのセカンドリビングを配置するケースなど、家族のスタイルによってさまざまな作り方があるのも一部共有型の特徴です。
・完全分離型
完全分離型はその名の通り、共有する部分をつくらずにそれぞれが独立して暮らせるようにつくった二世帯住宅です。
アパートやマンションのように隣の部屋同士でそれぞれ生活しているイメージに近くなります。
完全分離のパターンも大きく2つあり、
- 世帯を横(1階・2階)で分ける
- 世帯を縦(東西・南北)に分ける
のどちらかに分類されるケースがほとんどです。
また、3階建てにして1階は親世帯、2階・3階を子世帯にするなど生活空間に距離をとってお互いのプライバシーに配慮するケースもあります。
【どのパターンを採用するかが重要!】
実例にみる二世帯住宅のパターン別メリット・デメリット
二世帯住宅にもいくつか種類があることが分かりました。
二世帯住宅を良いものとするために、この3パターンのどれが自分たちの家族スタイルに合っているかをよく見極めることがとても重要です。
次に「完全共有型」・「一部共有型」・「完全共有型」それぞれのパターンで、どのようなメリット・デメリットがあるのか実際に二世帯住宅に住まわれている方の意見も交えながら紹介していきます。
「完全共有型」二世帯住宅のメリット・デメリット
完全共有型は基本生活空間のすべてを共有します。
食事や団らんの時間も基本一緒になるため、にぎやかに暮らすことができます。その一方で、家族間の人間関係が良くないとストレスを溜めてしまう恐れが強いのがこのタイプです。
主なメリット・デメリットには以下となります。
メリット | デメリット |
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このなかで特に配慮が必要なのが、息子世帯と親世帯が同居する場合です。(嫁姑問題)
共働き世帯も多くなっていますが、妊娠時や出産時、お子さまが小さいときなどは若い奥さまと親世帯だけが家に残っているケースがあります。
若い奥さまが親世帯の前でも気にせずリラックスできるくらいの関係であればいいですが、やはりどうしても「親の前ではくつろげない・だらけられない」といった意見も少なくありません。
また、母親と若い奥さまと両方がキッチンに立つ場合も注意が必要です。
料理のしかた、掃除のしかたや頻度、収納のしかたなどは価値観が違ったりします。
お互いが気持ちよくキッチンに立てるようなルールづくりやそれぞれが気兼ねなくゆっくりできるような工夫をしておけるとよいでしょう。
完全共有型二世帯住宅の事例①
御殿場市Sさま(6人家族:ご主人・奥さま・ご長女・ご長男・お父さま・お母さま)
多くの二世帯住宅が玄関や台所、お風呂場などを世帯で分けるなか、Sさま邸はそれら全てが共用。
ご夫婦は「一緒に暮らすのだから、分ける必要はないでしょ」と一言ですんなりと話が進みました。
二世帯住宅にするにあたって、お父さまは「世帯でお風呂場とかリビングを分けなくても大丈夫か?」と不安だったそうですが、家族全員が顔を合わせる機会も増えてよかったと話しておられました。
その結果、自然と育児や家事も助け合えるようになり、お母さまは「孫と過ごせるのは楽しいですよ」とにぎやかな二世帯住宅での生活を楽しんでいるようです。
成功のポイント①
キッチンから洗面へ続く動線の左右に大容量のパントリー収納を配置。
収納する場所にルールをつくりお互いのものが入り乱れないように配慮。二世帯住宅でストレスなく生活を送る工夫のひとつです。
成功ポイント②
LDK以外にも二世帯で共用できるスペースを確保。一人ひとりの時間も充実できるように配慮。
完全共有型二世帯住宅の事例②
浜松市Sさま(5人家族:ご主人、奥さま、ご長男、ご次男、お母さま)
Sさまは2人のお子さんたちも成長して家が手狭になってきたこともあり、リフォームするか建て替えるか迷われ、両方の見積りをとりました。
総額にそれほどの差がないことや、これからお孫さんの世代まで長く住み続けることを考えると、建て替えた方がよいという結論に。
完成した住まいは、お母さまと奥さまの仲がいいことから、玄関も水回りも二世帯共有にしました。 お父さまの御位牌を守るために仏間を設け、来客がお焼香しやすいよう玄関から直接アクセスできるように配慮しました。
暮らしの中心となるLDKは、お母さまのたっての希望で対面キッチンを採用し、食卓に会話の花が咲きます。
成功ポイント①
玄関は共有するも二世帯の程よい距離感を保つために、玄関から一直線でつながる位置にお母さまの個室を設置しました。
お母さまが他の空間を通らずに自室へ出入りできるため、気兼ねなくお出掛けでき、適度なプライバシーを確保しています。
成功ポイント②
タイル外壁+太陽光発電によってランニングコストの軽減ができました。
日々の光熱費や将来的なメンテンナンス費用についての不安が減るため、費用負担など家族間での揉めごとも少なくなります。
「一部共有型」二世帯住宅のメリット・デメリット
親世帯と子世帯それぞれの生活空間をある程度確保しつつ、玄関や浴室・洗面などの一部の空間を共有するのがこちらの二世帯住宅パターンの特長です。
完全共有と完全分離のそれぞれの良さを併せ持った住まい方が可能になります。
主なメリット・デメリットには以下のものがあります。
メリット | デメリット |
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完全共有型と完全分離型の中間にあたるため、ある程度のプライバシーを確保しつつも、設備を共用とすることでコストを抑えられる点がメリットです。
また、LDKなどの生活空間はそれぞれの家族で分けるため、その空間において、間取りや内装に個性を出したり、知人や友人を招いたりしやすいという点が、完全共有型との違いになります。
しかし一方で、「一部共有型」はどこを共用とするかきちんと話し合っておかないと後々のトラブルにつながる恐れがあります。
また親世帯と子世帯の内装の好みが大きく違う場合、共用スペースをどちらで合わせていくかの意見のすり合わせが難航してしまうことがあるので気をつけなければいけません。
一部共有型二世帯住宅の事例①
焼津市Hさま(4人家族:ご主人・奥さま・お父さま・お母さま)
親世帯と子世帯でそれぞれの生活空間を分け、玄関のみ共用という生活スタイルを採用したHさま邸。
LDKやトイレ、お風呂などの生活空間にはそれぞれの世帯のこだわりが詰まっています。
「それぞれの生活をしながらも、将来子どもが生まれた時は二世帯で協力できるということが本当に安心ですね」と語るご主人。程よい距離感で仲睦まじく暮らすHさまです。
成功ポイント①
LDKを分離することでそれぞれの個性を表現することが可能になりました。
1階の親世帯は、インテリアも白・グレー・黒に統一し色数を抑えシンプルモダンに。
2階の子世帯は、寝室と寝室以外で色のバリエーションを変え、メリハリのある空間を演出。寝室はシックな色合いでまとめ、落ち着いた大人の空間にしました。
一方で、リビングは将来お子さまと過ごすことを考えて、壁やカーテンを明るいライトブルーに統一し、ワイワイ楽しめる空間を演出しています。
成功ポイント②
二世帯の出入りを考えて玄関を広めに配置しました。
玄関に階段を隣接させ、2階への動線をできる限り短くすることでお互いのプライバシーを確保しています。
「完全分離型」二世帯住宅のメリット・デメリット
完全分離型は共有する部分をつくらずにそれぞれが独立して暮らせるようにつくったパターンです。
1階と2階で世帯を分ける「上下分離型」と東西や南北などで世帯を分ける「左右分離型」の2つのケースがあります。
二世帯住宅のなかでも最もプライバシーが保ちやすい構造であるという特長がある反面、すべての空間が2つずつ必要なため、コストが最も掛かってしまうがこのパターンのデメリットです。
主なメリット・デメリットには以下のものがあります。
メリット | デメリット |
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完全分離型は他のタイプと比べると最もプライバシーが確保されます。
なにかあった時にすぐ駆け付けられる距離感のことをたとえて「スープの冷めない距離」ということがありますが、まさにそれに1番近いのがこのパターンです。
基本的に独立して生活しているため、それぞれ気兼ねなく生活することができます。
とはいえ、間取りの配慮をしないと、生活音がお互いに聞こえてしまうという問題も起こります。
たとえば、1階を親世帯寝室にしてその真上の2階部分に子世帯のリビングがあると子世帯の生活音が親世帯にのストレスになる恐れがあります。
また、道路の位置や敷地の広さによっては仕方ないこともありますが、玄関が横並びの場合はお互いの出かける時間がわかってしまうなど、思いがけずプライバシーが露呈してしまうこともあるので注意が必要です。
完全分離型二世帯住宅の事例①
浜松市Mさま(5人家族:ご主人・奥さま・ご長女・ご次女・奥さまのお母さま)
1階はお母さま、2階はMさま夫妻と中学生と小学生のふたりの娘さん住む二世帯住宅です。
玄関や水回りを分けた独立型の二世帯住宅ですが、1階には互いに行き来ができる扉が設けられています。
お母さまは「娘家族と仲は良いけど、お互いプライバシーは大切にしたいと考えています。細かな生活音は聞こえないけど、帰ってきたかな…と気配は感じられる程よい関係を築けています。身内が近くにいるとやっぱり心強いですね」と満足そうお話ししてくださいました。
成功ポイント①
1階を親世帯、2階を子世帯にしました。
それぞれの世帯がワンフロアで過ごす生活になるため、上下階の移動が少なく、家族の気配を感じやすくなります。
「ご長女は学校から帰ると、母の部屋に行って犬と遊んだり、おしゃべりしたりして楽しく過ごしているようです」と奥さま。
遠くに離れて暮らしていると、お子さまだけでは「おばあちゃんの家」に簡単に遊びに行くことはできませんが、二世帯住宅なら可能です。
成功ポイント②
親世帯と子世帯の玄関の間に客間スペース(共有ルーム)を配置しました。
友達を招いたり、親戚が宿泊したりとさまざまな用途で使用できます。
単世帯でこのスペースをつくるのは少しもったいなさを感じますが、家族が多い二世帯住宅だからこそ生まれたアイデアです。
完全分離型二世帯住宅の事例②
静岡市Yさま(ご主人・奥さま・ご長女・お父さま・お母さま)
アパート暮らしを続けるなかで、家賃を払い続けることに疑問を感じて家を建てることに決めたYさま。ご主人のご両親も数年前から新築を検討していたことから、二世帯住宅を建てることになりました。
3階建てを想定していたため、耐震性から鉄骨住宅を希望され、セキスイハイムをお選びいただきました。
「図面を描き進めてもらいながらも、正直なところは、金額的にセキスイハイムは無理だと思っていました」と、検討初期の想いで語る旦那さま。
しかし、セキスイハイムの工場見学で、屋内での徹底した品質管理や、耐火実験を目の当たりにして、安心して長く住める家だと実感。セキスイハイムをお選びいただくことになりました。
成功ポイント①
家にいる時間がもっとも長いご両親が過ごす空間を、最も日当たりが良く眺めのいい3階としました。
足腰に配慮してホームエレベーターを設置したため、移動も楽々です。
また、一般的な1階は親世帯、2階を子世帯で分ける二世帯住宅と違い、生活音やお孫さまの走り回る音など上下階の音の問題もなくなります。
「生活は別ですが、階段で常に行き来でき、娘も祖父母と遊べるのが嬉しいようです。二世帯居住の理想が叶えられました」とご主人。
実際に検討中の方へ:良い家族関係が続く・もっと良くなる二世帯住宅づくりを成功させるためのポイントを解説
ここまで二世帯住宅のタイプ別メリット・デメリットをご紹介しました。
ここからは実際に検討中のかたに向けて、二世帯住宅検討のポイントを解説します。
事前準備・住宅メーカー選定の注意点・ポイント
事前にしっかり話し合う。立場の弱い人に寄り添って考える
たくさんの大人が集まる二世帯住宅。
全員の意見がぴったり一致するなんてことはほとんどありません。建ててから後悔することがないように事前にきちんと話し合っておきましょう。
話し合う内容も間取りや設備に関することだけでなく、共有部分はどちらが管理するのか、家事負担のルール、光熱費やランニングコストの支払いのことなど事前に決めておくことが重要です。
あいまいなままにしておくとストレスがたまってしまい、後のトラブルに発展しかねません。
特に注意が必要なのが、息子世帯と親世帯が同居する場合です。
前述しましたが、嫁の立場で家に入っている若奥さまはどうしても立場が低くなりがちです。
意見を言いたくても気を遣ってしまい、思うように伝えられないということも少なくありません。
我慢して二世帯住宅を建てて我慢しきれず家を出る。それがきっかけになって、離婚の原因になってしまうことさえあります。
子世帯のご主人が若奥さまの意見を代弁し、寄り添ってあげることでうまくいくこともありますので、それぞれの世帯のなかで立場の弱い人をつくらないよう、必ず調整役をつくるようにしましょう。
二世帯住宅を建てる場合は長持ちする家を選ぶ
二世帯住宅を建てる場合、「長持ちする家を選ぶこと」も重要です。
耐震性や耐久性に不安のある家で二世帯住宅を建ててしまうとメンテンナンス費用やリフォーム費用ほかさまざまな負担が増えてしまいます。
単世帯であればどこまでメンテンナンスしていくか自分たちだけで判断できますが、二世帯住宅ともなるとその費用を誰が負担するのか?ほんとに必要があるのか?さまざまな意見が出てきます。
「金の切れ目が縁の切れ目」ではないですが、お金のトラブルをもとに一緒にいるのが嫌になってしまい、せっかく建てた二世帯住宅から出ていくといったケースもあります。
きちんと考えておけば家族みんなが災害に強い安心の住まいに住むことができるため、もしものときの心配が少なくなります。
二世帯住宅を建てる場合は、耐震性・耐久性ともに「長持ちする家」を選ぶようにしましょう。
間取りや設備の注意点・ポイント
キッチンの共用は注意!しっかりとルールを決めておこう
前述しましたが、キッチンを共用する場合は注意が必要です。
親世帯と子世帯ではライフスタイルや食事の好みも違います。特に、小さなお子さまのいる世帯では親世帯との食事スタイルは大きく異なってくるでしょう。そのような場合に
- 料理は誰がするのか?1人でするのか?2人でするのか?
- 冷蔵庫に食材をどうしまうのか?
- 食器や調理器具の収納方法は?
- 献立はどうするのか?買い物は誰がする?食費の負担は?
- 水道代や電気代(ガス代)どう分ける?
などルールをつくっておくことが大切になります。
どのようなかたちで料理するのかによりますが、2人でキッチンに立てるようにスペースを確保しておく、パントリーを設置し収納などもそれぞれの世帯でわかりやすく分けて保管するなどが、対策例としてあげられます。
しかしながら、キッチンの仕様やルールづくりだけではどうしても限界があるのも事実。
上記のルールづくりが難しい場合は、キッチンを別々にした部分共有型や完全分離型の二世帯住宅を検討しましょう。
LDKは広めにつくっておく
完全共有型の二世帯住宅を選択した場合、くつろぐ空間も家族一緒になります。
その場合では、単世帯のようなLDKとしてしまうと他の家族と違った行動を取りにくく、行動を合わせる必要が出てしまいます。
そこで有効なのがLDKを広めにつくっておく方法です。
図のA・B・Cのように空間はつながりつつも、壁や扉をうまく配置してあげることで同じ空間にありながらもひとり時間も充実できる間取りになります。
「家族で楽しむ」「ひとりでくつろぐ」をそれぞれが選んで、同じ空間で過ごせる設計をしてくとよいでしょう。
シェア空間をつくるという選択も
前述の実例にもありましたが、両方の世帯で使いたいときに使える「シェア空間」を持っておくのもオススメです。
来客があったときだけ使う応接室、親族が集まった際の寝室、趣味を楽しめる空間など、毎日は使わないものの何かあったときだけお互いが共有できる場所をつくっておくと、もしものときに役立ちます。
「シェア空間」をつくる場合のポイントとしては、
- 親世帯⇔シェア空間⇔子世帯のように、お互いの空間を通らずにアプローチできるようにする
- 利用する場合のルールを決めておく
- 使った方がきちんと掃除・片づけをおこなう
など決めておくとよいでしょう。
生活音にも配慮しておく
親世帯と子世帯では基本生活リズムが異なるため、音の問題はきちんと考えておきましょう。
2階を歩く音やテレビの音、トイレや浴室などの水回りの音なども、思っている以上に響きます。
それが原因でうまく寝つけない、寝ていたのに起こされてしまったなどの問題も起こります。
対策としては、
- 1階寝室の上にはLDKなどの生活音が大きい空間をつくらない
- 2階の床を遮音性の高いものにする
などがあります。後で問題にならないように事前にしっかりと間取りを考えておきましょう。
将来対応できる間取りにしておく
これは前述した長持ちする家を選択した場合に考えておきたいポイントですが、長く住むということはその先で世帯が移り変わるということになります。
孫が結婚して新しい家族が増えたので2階を孫世帯のためのものに変更。それに伴い、2階に住んでいた親世帯が1階へと移り住んでいくことも考えられます。
その場合、そのまま住むことも可能ですが、多少は好みに合わせてリフォームして住むこともあるでしょう。それを考えると、新築時に個性が際立った間取りをつくってしまうと、リフォーム費用が必要以上に掛かってしまうこともあります。
次世代へ引き継げるように、将来対応のしやすい構造・シンプルな間取りを心がけておくことも大切です。
住まい方の注意点・ポイント
お金についてしっかりと話し合っておく
家は住んでからもいろいろなお金がかかってきます。
その費用負担をきちんと考えておかないと、お互いモヤモヤしてしまいます。
主な費用の例としては、
- 月々の返済額(住宅ローン)
- 光熱費(電気・ガス・水道)
- 固定資産税
- 保険料(火災保険・地震保険料)
- メンテナンス費用(外壁の塗り替え・設備の交換)
などが挙げられます。
また完全共有型の場合は一緒に食事するスタイルが基本となるため、食費の負担についても考えておく必要があります。
ルール作りも大切
住み始めてしまうと小さな不満は言いづらく我慢しがちになってしまいます。
両世帯が気持ちよく生活するためにはお金以外の部分にもルールづくりが大切です。
ルールの例としては、
- 食事(調理・時間・片づけ)のルール
- 共有部分のルール(使い方・掃除)
- お風呂のルール(誰から入る?誰が掃除する?)
- その他家事負担について
- お互いの世帯への出入りについて ・育児への参加について(どこまで協力してもらうか?)
などがあります。
共有する部分が多くなるほど決めておくことも多くなりますので、お互いが気持ちよく生活できるように住み始める前までに(できれば間取り検討の段階で)よく話し合っておきましょう。
完全分離型の場合でも駐車場やお庭の手入れなどはルールをつくっておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
二世帯住宅はネガティブなイメージもありますが、きちんと準備しておけば、助け合いにぎやかな暮らしをすることが可能です。
二世帯住宅のパターンは大きく3つ
- 共有する部分が多いが1番コストが抑えられる「完全共有型」
- プライバシー性が高いが、1番コストが高くなる「完全分離型」
- お互いの中間にあたる「一部共有型」
それぞれの世帯の関わり方やコストを見極め自分たちにあった二世帯住宅のタイプを選びましょう。
セキスイハイム東海では、たくさんの二世帯の建築実例をご紹介しています。
また、二世帯住宅でも安心して住める耐震性・耐久性の高い住まいを提供していますので二世帯住宅をご検討の方は是非ご家族みなさまで最寄りのセキスイハイム展示場にてご相談ください。