「出かける時、帰ってきたらすぐ入れる位置に」
「普段家族の集まるリビングから使いやすく」
「お風呂や洗面など水回りはまとめて設置したい」
マイホームに必ず必要なトイレですが、設置する位置は家族によってさまざまです。
音やにおいなどデリケートな問題もあるため、設置する位置を間違えてしまうと使いにくく、後悔してしまうことも…。
こちらの記事ではおすすめのトイレレイアウト、間取りのコツや気を付けておくべきポイントまで実例を含めて紹介します。自分たちにあったレイアウトを見つけましょう。
理想的なトイレの位置は?設置場所別のメリット・デメリット
主なトイレの設置場所として候補にあがるのが下記の4つになります。
それぞれの位置に設置するメリットとデメリットについて解説します。
玄関の近くにトイレを配置するメリット・デメリット
玄関近くにトイレを設置するメリット
玄関近くにトイレを設置するメリットは主に2つです。
- おでかけ前や、帰宅後にすぐ利用しやすい
- リビングなどの生活空間から距離が取れるため、においや音などが気になりにくい
通学・出勤のおでかけ前や外から帰ってきてすぐ入れるなどその使いやすさがメリットになります。
特に外で遊ぶことの多い小さなお子様がいる家庭では玄関近くにあるとすぐ利用できるため便利です。
筆者も自宅が近くなると安心するのか毎日帰宅後すぐにトイレに行くことが多いのでこちらのパターンだと安心です。
玄関近くにトイレを設置するデメリット
一方で玄関の近くにトイレを設置することのデメリットもあります。
- 来客中にトイレが使いにくい
- 風水を気にする人にとって、玄関トイレはNGとされている
主にデメリットになるのが「来客中にトイレが使いにくい」です。
来客と玄関先で長話。昔はよくある光景でした。
特に玄関からトイレの入り口が直接見える場合、音やにおいが気になってしまい気持ち的に使いにくいということがあります。
ただし、最近ではスマホほか通信手段の発展もあり、玄関先でご近所の方やお友達と長時間お話することも減ってきているため、そこまで気にしてなくて良いケースも増えてきました。
ご家族ごとに来客数も違うため、その点を考慮して間取りを考えましょう。
また、風水の観点から見るとトイレを玄関の近くに置くことはNGとされているようです。
風水の「気」は玄関から入ってくると言われており、玄関にトイレがあることでその「気」が汚れてしまうということからそのように言われております。
しかし、それはかつての上下水道がきちんと整備されておらず、トイレが「不浄の場」とされていた時代の話になります。
気になる方は、
- 玄関近くに植物を配置する
- トイレの蓋を必ず閉めるようにする
- トイレを綺麗に保つ(水拭き掃除、換気を行う)
などで対策することが可能です。
「どうしても玄関付近にトイレを設置したいけど風水が気になる」という方はこのような対策をして設置するといいでしょう。
リビングの近くにトイレを配置するメリット・デメリット
リビング近くにトイレを配置するメリット
- 家族のあつまる空間から使いやすくなる
- 友達が遊びに来た時も使ってもらいやすい
リビングは家族が1番多くの時間を過ごす場所です。そこから近い位置にあることで動線がスムーズになります。特に小さなお子様やご高齢の家族がいる場合は、トイレが近くにあると便利です。
また、来客が使うことを考えても余分な空間を通らずリビング⇔トイレの行き来ができると便利です。
合わせて手洗い場もその動線の中に設置できるように間取りを考えるようにしましょう。
リビング近くにトイレを配置するデメリット
- 音やにおいが気になる
- トイレドアの位置を考えないとリビングから丸見えに
人が集まる空間から距離が近いというのは、逆に言えば音やにおいも届きやすいということです。食事中や静かに読書をしている際に、家族がトイレを使用すると不快に感じてしまうかもしれません。
また、ソファの位置―リビング入り口―トイレのドアが一直線につながるような配置になってしまうと家族が出入りする際にトイレの中が見えてしまい不快に感じる恐れがあります。
リビングの近くに配置する場合はトイレの壁を厚くする・吸音材などを入れて音を漏れにくくする、ドアの位置や開き方まで考慮して配置するようにしましょう。
洗面所の近くにトイレを配置するメリット・デメリット
洗面所近くにトイレを配置するメリット
- 水回りがまとまることでコストが抑えられる
- トイレ使用後洗面所で手を洗いやすい
水回りがまとまっていると上下水道の配管もまとめられるため、コストを抑えることができます。
他にもトイレ内に手洗いを設けない場合、トイレ使用後に洗面所で手が洗いやすいなどの衛生動線を短くできる点も魅力です。
またみなさんはお風呂に入った後に尿意を感じたことはありませんでしょうか?
筆者はよくあるのですが、これは入浴による水圧により、下半身が圧迫されると、血液が上半身に戻ってきた際に利尿作用をもたらすホルモンの分泌が増えるという働きにより起こります。 このような場合も、トイレが近いと便利です。
洗面所近くにトイレを配置するデメリット
- プライベートな空間が見られやすい
- 洗面所を通る間取りの場合入浴中は使用できないことも
トイレ使用後に洗面所で手を洗うというシーンにおいて、動線が短い点はメリットですが、洗面所と脱衣所が一体となっている場合は注意が必要です。
脱衣所は脱いだ衣服などが置いてあったり、場合によっては室内物干しとして利用していたりするケースもあります。生活感が見えやすい空間になるため、来客者にプライベートな空間を見られてしまう恐れがあります。
また、特に注意が必要なのはトイレが脱衣洗面所の奥にあるケースです。
この場合、入浴中は気を遣ってトイレが利用できない、そもそも鍵を掛けられてしまい、通れないといったケースも考えられるため、注意しましょう。
階段下スペースにトイレを配置するメリット・デメリット
階段下スペースにトイレを配置するメリット
- デッドスペースを有効利用できる
- 2階からも使いやすい
- 音やにおいが気になりにくい
階段下のスペースは収納として利用することもできますが、高さが確保できなかったり、細長い空間となるため、奥行きは取れても棚などを取り付けにくく、デッドスペースとなりやすい空間になります。
しかし、この空間をトイレとして利用できれば、有効活用することが可能です。
もし2階にトイレを設けず、1カ所にまとめるということであれば2階からもアプローチしやすいこの位置は最適です。
階段の位置にもよりますが、リビング近くに比べると音やにおいを気にしなくて良い点もメリットです。
階段下スペースにトイレを配置するデメリット
- 天井が斜めになっていることで圧迫感を感じやすい
- 階段の形・種類によっては採用できないことも
- 収納として利用できなくなる
- 風水的には階段下トイレは好ましくない
階段下は階段の高さに合わせて天井が斜めになっているため、天井が低く圧迫感を感じる方もいるかもしれません。
また、階段の形や種類によっては階段下に十分な高さとスペースが取れず採用できないケースもあるので注意です。
頭をぶつけてしまうほど低いのは考えものですが、そうでなければ逆に落ち着けるという意見もあります。
しかし、階段下はデッドスペースとなりやすいとはいえ、扇風機などの普段出し入れの少ない季節ものをしまっておくスペースとしては有効ですので、そこをトイレにすることで収納量が少し落ちてしまう点はデメリットといえます。
風水についても玄関同様2階への「気」の通り道となるため、階段下のトイレも風水的にはNGと言われています。
結局トイレはどこに設置するのが正解なの?
トイレを設置する位置ですが、明確な正解はありません。
なぜかと言うと家族の人数や生活スタイルによって使いやすいトイレの位置は異なるからです。
また、建築地の道路と玄関の位置、日当たりや風の流れ、隣家との関係、見える景色などによっても間取りの作り方は変わってくるため、自分たち家族にあったトイレの位置はどこか今までの内容を参考に検討してみてください。
これ以外にもトイレのレイアウトにおいて考慮すべき点はあるため、このあと解説していきます。
トイレのレイアウトどんな点に考慮すべき
ここまでにトイレの設置場所ごとのメリット・デメリットを解説してきました。
ここではその他トイレのレイアウトにおいて考慮すべき点をお伝えします。
充分な広さはどれくらいか?を考慮する
一般的にトイレ空間の広さは、
「幅900mm×奥行き1800mm」
あればゆったりと使えると言われています。
少し狭いトイレの場合でも
「幅800mm×奥行き1200mm」
程度あれば不便はなく使えます。
狭いと感じる場合は、タンクレストイレを採用するとトイレタンクが不要になり、少し空間にゆとりを生むことができます。 また、トイレ内に手洗い場を設けたいなどの要望もありますが、その場合は+200mm程度横幅を広く取るようにしましょう。
車椅子を利用している家族がいる場合、将来に備えて広く準備しておきたい場合は、車椅子が入れるように
- ドアの開口部分を800mm以上確保
- 便器の先から壁までを600mm以上確保
を目安に準備しましょう。
車椅子での介助が必要な場合は「幅1650mm×奥行き1650mm」以上が必要です。
合わせて段差をなくすなどのバリアフリーの準備もしておきましょう。
2カ所以上設置しておく
マイホームを購入する前はアパート等賃貸住宅に暮らしている人も多いかと思います。
その場合基本的にトイレは1カ所のためマイホームでもトイレが1カ所あればいいかと考える方も少なくありません。
マイホームを建てる年齢にもよりますが、お子さまが生まれ家族が増える場合、自身が歳を重ねてトイレに行く頻度が多くなる場合も考慮しておく必要があります。
2階に寝室を設置する場合に1階にしかトイレがないと、その都度階段の昇り降りが必要になります。
歳を重ねると昇り降りも大変になるため、基本的に2階建てであれば1階・2階とそれぞれにトイレを配置するように考えましょう。
2階のトイレは設置する位置に注意
2階にトイレをつくる場合は、どこに設置するかにも注意が必要です。
基本2階トイレの直下には排泄物を流す配管が通っています。そのため、2階トイレの直下がLDKや寝室だったりすると音が気になってしまうかもしれません。
できれば2階トイレの直下に1階トイレを配置する、洗面所や収納など非居室空間を設置するなど間取りに配慮するようにしましょう。
また、2階トイレの位置関係が寝室⇔階段⇔トイレとなる場合は注意が必要です。
夜間で寝ぼけている時に使うことも多いため、手をつきながら壁伝いに歩いていたら階段から下に転落してしまったという家庭内事故も起こっています。
このような配置になってしまう場合は、注意喚起として階段の位置にフットライトを設置するなどの対策も検討しましょう。
トイレのドアは内開きにしない
トイレドアを内開きにしてしまうと中に置いてあるスリッパが引っかかって邪魔になってしまう恐れがあります。
また、もし中で人が倒れてしまった場合に、倒れている人が邪魔になりドアが開けられない可能性もあります。
万が一を考えトイレのドアは外開き、もしくは引き戸にしましょう。
外開きにする場合も間取りを考慮して考えないと失敗する
ただし、 トイレドアを外開きで設置する場合も注意が必要です。
例えば画像のような場合、通常の開き勝手であれば、リビング側からアプローチしやすいため、問題ありません。
しかし、開き勝手が逆の場合、リビングドア側に向かってドアが開くため壁が邪魔で中に入れません。
一度階段に抜けて逆に回り込まないと開けられない扉になってしまうため、外開きにする場合は、他の場所とのバランスを考えて使いやすい方向にドアが開くよう考慮しましょう。
トイレに必ずしも窓は必要ない
かつては換気の観点からもトイレは外壁面に接する位置に設置され、窓が設けられているのが当たり前でした。
しかし最近は、換気扇の性能向上もあり、窓なしトイレも増えています。
窓を付ける必要がないため、外壁面に接する必要はなく、レイアウトの自由度も非常に高くなります。
窓なしトイレの主なメリットとしては、
- 窓を設置する費用を抑えられる
- 暑さや寒さの影響を受けにくい
- 防犯性が高まる
点などが挙げられます。
窓は外壁に比べ、断熱性が劣るため、冬は冷気が入り寒くなります。
また夏は直射が入ることで蒸し風呂のように暑くなってしまいます。
窓があると外からの侵入口になったり、人の存在有無も確認できたりするため、窓がないほうが防犯性は高まります。
しかし、一方で
- 採光が取れないため、昼間でも照明が必要
- 四方が壁となるため、圧迫感を感じる恐れがある
といったデメリットもあります。
特に、照明については、明るさの問題だけでなく、光熱費などにもつながるため、どちらを優先するか家族できちんと話し合いましょう。
快適なトイレにするためのワンポイントアドバイス
最後にレイアウトだけに限らず、トイレを快適に使うためのワンポイントアドバイスをいくつか紹介いたします。
トイレ照明は人感センサーにしておくと便利
トイレの照明スイッチは中につける・外につける論争があります。
それぞれのメリット・デメリットをいくつか挙げると、次のようなものがあります。
照明スイッチを中に設置 | 照明スイッチを外に設置 | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
今までは、メリット・デメリットをふまえてどちらかを選択していましたが、最近のトレンドは、その両方のメリットを兼ね備えた「人感センサー付照明」の導入です。
人感センサー付照明にすると、
- 照明の消し忘れがなくなる(電気代の無駄も削減)
- スイッチのオン・オフの手間が省ける
- トイレ利用後にスイッチを触らなくていいため衛生的
などのメリットがあります。
あわせてトイレ本体も便座や便蓋がセンサーで開く、センサーで流せるタイプを採用するとより衛生面は向上します。
しかし、通常の照明に比べ少しコストはかかってしまうため、採用する場合はその点も考慮して採用するようにしましょう。
トイレ内には必ず収納をつけよう
トイレ内に収納したいものとしては、
- トイレットペーパー
- 生理用品
- 赤ちゃんのオムツやお尻ふき
- 掃除用トイレシート
- トイレ用洗剤や手洗い用洗剤
- トイレ掃除用ブラシ
- 消臭スプレー
- 手拭き用タオル
などなどたくさんあります。
そのすべてをトイレ内に収納する必要はありませんが、ストック用のトイレットペーパーや生理用品、トイレ掃除用具などは収納しておきたいところ。
階段下トイレなどで高い位置に収納がつくれない場合は、壁を掘りこんだ埋め込みタイプの収納や最近では、オシャレな床置きタイプの収納商品もあるため、いずれかの方法でトイレ内に収納を設置するようにしましょう。
快適さを考えるのであれば紙巻き器は絶対二連にする
用を足したあとに紙がないことに気づいたなんて経験みなさまもしたことあるのではないでしょうか?
これを防止するためにもトイレの紙巻き器(ペーパーホルダー)は二連式のものにすると便利です。
トイレ内に収納が取れない場合や来客利用時に紙がなくなってしまうというリスクを避けることができます。
デザイン性を考えて、一連タイプを採用する方もいますが、特別な事情がない限りは二連式を選ぶようにしましょう。
トイレの床材は耐水性×メンテナンス性×汚れの目立ちにくさで選ぶ
トイレの床材には、クッションフロアやフロアタイル、磁器タイル、フローリングなどさまざまな素材のものがあります。
デザイン性もあるためどれを選ぶかはご家族それぞれですが、以下の点を注意して選ぶようにしましょう。
・耐水性
最近では男性も座って用を足す家庭が増え、「飛び散り」が起こることが減ってきています。
しかし、トイレは家族だけでなく来客も使います。
座ってしてくれるだろうと思っても、必ずしもその通りになるかは分かりませんし、都度座ってしてねとお願いするもの野暮です。かといって張り紙をするのもデザイン性がよくありません。
また、「飛び散り」だけでなく、トイレ内手洗いによる「水はね」なども考えられるため、水の染み込みにくい素材を選ぶことをオススメします。
・メンテンナンス性(掃除のしやすさ)
トイレの床材を選ぶ上でメンテナンス性(掃除のしやすさ)も重要です。
タイルなどの凹凸がある素材の床材は、デザイン性が高いもののトイレシートなどが引っかかってしまうため、清掃のしやすさはイマイチです。
頻繁に掃除することを考えると凹凸のないフラットなものを選ぶ方がよいでしょう。 最近では、清掃性の優れたトイレとして便器が浮いている壁付けタイプのトイレを採用するケースも見られます。
・汚れの目立ちにくさ
頻繁に掃除をする家庭であればそこまで気にしなくてもいいかもしれませんが、トイレ内は「飛び散り」や「水はね」などのシミ、髪の毛などの抜け毛、埃などがたまります。
トイレをスッキリ見せるために白い床材を選びたいところですが、その場合汚れが目立ってしまいます。
もし、白や薄い色の素材を選ぶ場合は単色のものではなく、色が少し混ざったデザインを選ぶことでリスクを回避することができます。
より快適にするために。考慮・注意しておくべきポイント
- トイレ内にタオル掛けをつけておく(タンク手洗いやトイレ内手洗いの場合)
- トイレ収納の位置が高すぎると使いづらいため注意
- 小さなお子さまがいる場合トイレタンクの手洗いは高くて使いにくい
- 便座にも大きさがあるため、使いやすい大きさはショールームで体感する
- 換気扇の位置が高すぎるとメンテンナスしにくい。においは下に滞留するため、換気扇を下部に配置するものあり
- タンクレストイレは停電時に使いにくいため、採用する場合は保険で2階トイレはタンク式のトイレにしておくと失敗しない
- タンクレストイレを採用する場合は水圧に注意。地域寄って上水道の水圧が違うため、2階や3階だとタンクレストイレが採用できないこともある
まとめ
いかがでしたでしょうか?
トイレも設置する位置やどこまで配慮するかによって使いやすさが大きく変わります。
毎日利用する場所ですので後から後悔しないように事前によく検討しましょう。
トイレレイアウトや仕様でお困りの方は、是非セキスイハイム東海の住宅展示場や分譲住宅で実物を確認してみてください。
こちらの記事では伝わりきらない雰囲気や使い勝手などがご体感いただけます。
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