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建売住宅選びで失敗しない! 建売住宅の値段ってなぜこんなに違うの?

いざマイホームを検討しようと思った際にインターネットにて土地・不動産の情報サイトを利用される方が多くいます。
希望のエリアを選んで土地や分譲住宅・建売住宅を検索するとさまざまな物件が出てきますが、その価格差に驚いた方もいるのではないでしょうか?
立地や建物・土地の大きさにもよりますが、建売の値段を比較してみると、数百万円から場合によっては数千万円もの価格差があるものあります。
同じような立地にありながら、建売メーカーによって、新築の分譲住宅・建売でこんなに金額に違いが出てしまうのはなぜでしょうか?
今回の記事では、その「価格差の理由」や「どのような家を選ぶのがいいのか?」について説明していきます。建売メーカーを比較する際の参考になれば幸いです。

「分譲住宅」と「建売住宅」の違い

建売の価格差についてのお話を始めるうえで、住宅の購入を検討する際に、よく目にするのが「分譲住宅」と「建売住宅」について確認しましょう。

まず前提として、この2つの違いはどこにあるのでしょうか?

分譲住宅と建売住宅には大きな違いはない

結論からいうと「分譲住宅」と「建売住宅」には大きな違いはありません。
完成された住宅を土地とセットで販売するという点が共通しているからです。
事実、建築業界においても同じような意味合いで混在して使われております。
ではなぜ名前が統一されていないのでしょうか?

建売住宅の中のひとつのカテゴリーが分譲住宅

建売とは、読んで字のごとく建てた家を売るという意味です。対義語は注文住宅です。
分譲住宅は建売の中でも、ある一定の大きさの土地を購入し、分譲地として整備したうえで家を建て1号地、2号地、3号地などその区画ごとを分けて販売(譲る)するのが「分譲住宅」です。
マンションなども、ひとつの建物を分けて販売(譲る)ので、分譲マンションなどと呼ばれます。

建売住宅の価格が違う理由(概要)

それではなぜ建売住宅(分譲住宅)には大きな価格差が出てしまうのでしょうか?
気になる建売物件を比較検討するにあたっても、どのように評価・判断してよいかわからず困っている方もいるのではないでしょうか?

 「建物以外のもの」が含まれるかどうかは、比較サイトを見ただけではわからない

下の2つの写真を見て、感じることがありますか?

※一般の建売住宅例
※当社施工の建売住宅例

少し細かく見てみましょう。

赤枠で囲う必要もなさそうですが、植栽・門袖・宅配BOX・見切りのピンコロ石など、分譲地の外構や植栽計画、照明計画にまで気を使って建てられる分譲地と、最低限の建物と駐車場のみを設えた分譲地ではまちなみの雰囲気が異なります。
もちろん、植栽のいる・いらないなどは好みが分かれるところではあるかもしれませんし、門袖や宅配ボックスなどは後からでも設置できるケースもあるでしょう。
このようなものが含まれるか否かは、住宅情報サイトなどで、金額だけを見ていてはわからないことも多くあります。そのため、現場に出向いてご自身の目で確かめてみることも重要です。
そもそも、駐車場もコンクリートがなく、砂利の場合などもあります(それが悪いというわけではありません、価格差の話です)。

建売住宅(分譲住宅)の外構にこだわっている会社は、「永く続く資産価値」を意識していることが多いです。
たとえば、三島市【清み野】戸建分譲計画では統一感があり、緑豊かな環境・景観を維持し、資産価値の高いまちなみを創りあげるために、建物や外構、植栽計画について「まちなみデザインガイドライン」を設けています。
その目的は、分譲地に住まわれる方々の資産価値を守り、このルールをしっかりと守ることによって、次世代へ継承してゆく道標として制定したとのことです。

※三島市清み野分譲地 まちなみデザインガイドラインより一部抜粋

建物価格の違いは何が要因?

建物価格の違いといっても、目に見えるものと、見えないものがあります。
目に見えるものとしては、オール電化かガス仕様か(オール電化の方が設備代は高い)キッチンのグレードはどのようなものを使っているのか?太陽光発電システムや、家庭用蓄電池がついているのか?全館空調なのか?エアコンはついているのか?はたまた床暖房なのか、スマートキーシステム、浴室暖房機、食洗機などです。 これらはわかりやすい価格の違いです。(全部あり、全部なしではかなり金額差がでます)

このような付加価値のある設備をふんだんに導入し、建売住宅でありながらも家の住まい心地まで力をいれる建築会社もあれば、生活するうえで最低限の設備を導入し、できる限り安く家を提供する建築会社もあるため、価格に大きな違いが生まれます。
一方、建物価格の違いの要因となる目に見えないものとしては、部材の品質や施工の精度です。
これは目で見ても一般の方はわかりません。こちらは後で詳しく解説します。

土地価格の違いはなぜ発生する?

土地の価格の違いもいろいろな要素が影響します。
エリアによって価格差が生まれることは想像しやすいかと思いますが、同じ立地にある土地でも土地の形状や高低差、道路との位置関係、地盤の強さなどさまざまな条件によって価格差が生まれます。
そのため、同じ分譲地内でも結構値段が変わります!

【価格の異なる理由①】建売メーカーの「建物」への考え方が違う

同じような立地・大きさ・条件の土地に建っている建売住宅(分譲住宅)の場合、価格差を生み出す大きな理由は、各建売メーカーの「建物の考え方」(どのような価値観や建築方針で家をつくっているか)にあります。

建物に使っている素材の品質が異なる

できあがった建売住宅(分譲住宅)を見てもどのような部材を使ってどのようにつくっていたかは、ぱっと見ではわかりません。

皆様の目がいきがちなのは、アクセントクロス(壁紙)、下がり天井、ペンダントライト、飾り棚など、「おしゃれな装飾や内装」ではないでしょうか。
もちろんこういった装飾もじわじわ金額には影響するのですが、本当に考えなければいけないのは、中身です。(ちなみに写真の右側が当社施工例です)
実際には建物に使っている素材そのものが、建売メーカーによって違いがあり、金額に大きな影響を与えています。

素材や構造・構法で耐震性が大きく変わる

家の構造には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造と種類があり、たとえば同じ木造でも使っている木の種類で性能や値段も大きく変わってきます。
また建築会社によってそのつくり方(構法)も異なり、耐震性や耐久性に大きく影響を与えるとともにそれが価格にも大きく影響します。
耐震については現在建築基準法・品確法という法律により基準が設けられています。販売されている建売住宅(分譲住宅)が耐震の基準を満たしているか、また基準以上の大地震も多く発生しているため、建築会社で独自に耐震の検証をした建物であるかなども考慮するポイントです。
もちろん基準を超える地震に耐えうる家の方が初期コストは高い傾向にあります。

耐震構造や工法について詳しく知りたい方はこちら

素材によって、メンテナンス性が違う(入居後の修繕費用に影響が出る)

外壁や外装材・屋根材などの素材はメンテナンス性に影響を与えます。
たとえば外壁の場合、素材によっては30年以上塗り替えを行わなくていいものもあれば、10年前後で塗装をする必要があるものもあります。
家の大きさや塗装の種類・施工方法などにもよりますが、外壁塗装は1回で少なくとも30-60万円程度必要といわれており、60年住むとなると300万円以上になる可能性も考えられます。
「初期投資をなるべく抑えた家」であるか、メンテナンス性の高い素材を採用し、「長い目で見てお金のかかりにくい家」であるか、も価格差を生んでいるポイントです。

入居後のメンテナンス費用について詳しく知りたい方はこちら

内装や設備機器のグレードによる価格差

建売住宅(分譲住宅)の場合、内装材や設備機器のグレードを抑えて安くしている場合もあります。
フローリングやクロスなどの内装材は主に見た目に影響を与えます。1つ1つは大きな価格差でなくても家全体でグレードの高い素材を選べば価格差も大きくなります。
またキッチンなどの設備は食洗機やIH・ガスコンロなどの調理器、レンジフードの性能などグレードによって見た目や機能性が異なります。
どのような内装材や設備機器が選ばれているかも価格と合わせて確認するようにしましょう。

キッチン
  • 食器洗い乾燥機(食洗機)
  • IHクッキングヒーター、ガスコンロ
  • レンジフード
  • 浄水器付き水栓
洗面所・脱衣所
  • 洗面台
  • 衣類乾燥機
  • 室内物干し
浴室
  • 浴室暖房、浴室乾燥機
  • 断熱フタ、保温浴槽
  • ジェットバス
  • 浴室TV、浴室スピーカー
トイレ
  • 温水洗浄便座
  • タンクレストイレ
  • 手洗いカウンター
玄関
  • 電子錠(スマートキー)
  • 玄関収納(靴箱、土間収納)
  • センサー付き照明
居室(リビングほか)
  • 床暖房
  • 全館空調
  • モニター付インターホン
外構(お庭・駐車場)
  • カーポート
  • 宅配ボックス
  • ウッドデッキ
  • 植栽
箇所 設備名

どこまで搭載するのがよい?先進設備によって生まれる価格差

前述した設備機器に加え、先進設備をどこまで採用しているか?によっても価格差が生まれます。

太陽光発電システムや家庭用蓄電池を採用することで初期費用は数百万円上乗せになります。
しかし、その代わりに光熱費などのランニングコストがかかりにくい生活や災害時の安心に備えることもできます。
また、HEMS(Home Energy Management System:ホームエネルギーマネジメントシステム)を採用することで電気の見える化が可能になり、太陽光発電システムや家庭用蓄電池の制御がよりスムーズになり、電気代などもスマホなどでよりわかりやすく確認できるようになります。
HEMSはその他の設備機器とも連携可能でエコキュートやエアコンの管理、インターホン・宅配BOXと連携し、来客や配達物への対応。窓の施錠確認や玄関ドアの施錠・解錠もスマホで行うこともできます。
その他にも床暖房や全館空調など空気環境や住まい心地にまで配慮した設備を搭載した建売住宅(分譲住宅)もあるため、これらの設備をどこまで搭載しているのかによっても価格差が生まれます。

作業者(職人)によって生まれる価格差

なんといっても一番大きいのは、建築費の半分を占めるといわれる「人件費」です。
建築業界は今職人不足と職人の高齢化に喘いでいます。
皆さんもまわりで住宅を建築している現場があったらよく観察してみてください。どのような人が働いているのか、その働いている人をしっかり管理する人がいるのか?現場の整理整頓状況や、マナーはどうか。
現場によっては外国人の方が働く姿もよく見かけます。それが悪いことではないですが、きちっと知識のある方が施工を監督できているかなどもチェックポイントのひとつです。
ちなみに、セキスイハイムは工場で大半をつくってくるのでそのあたり安心です。

【価格の異なる理由②】保証やアフターサービスが違う

法律で義務付けられた保証+αがあるかどうかが異なる

保証やアフターサービスの内容によっても価格差が生まれます。
どの住宅にも生活に大きな影響を与える基本構造部分(構造耐力主要部分、雨水侵入防止部分)の保証が10年間義務付けられています。
しかし、それ以上の保証については建築会社によって異なります。
最初から20年、30年の保証をうたっているところもあれば、10年経った際に有料メンテナンスをすることで保証を延長することができる建築会社もあります。
もちろん初期保証で長い保証がついている方が安心です。住んでから後悔しないためにも保証の内容も確認しましょう。
また保証と合わせてアフターサービスの充実も大切です。
入居後に定期的な点検もなく、なにかあった際にどこに相談していいかわからない。購入時の営業担当に相談しても明確な回答が返ってこない…といった状況では不安です。
定期的な点検・24時間365日の窓口があり、熟練のアフターサービススタッフが整っている住宅の方が安心できます。

【価格の異なる理由③】土地が違う

最後に、価格の違いが出るのが「土地」です。

土地の価格が違う理由としては、主に
・土地の場所
・土地の大きさ
・形状・土地の条件
などが挙げられます。それぞれどういった理由で価格が上下するのでしょうか?

立地により価格は大きく変わる

まず第一に、土地の場所(エリア)によって大きく価格が異なります。
基本的には駅に近い土地の価格は高くなりがちです。 またその駅も新幹線の停車駅なのか私鉄の駅なのか、繁華街に近い駅なのか田舎の駅なのかによっても変わります。

その他にもスーパーやショッピングモールが近い、大きな公園があるなど環境のよい立地も価格が高くなりやすい傾向があります。
一方で、墓地や火葬場の近くなどは視覚・心理的な要因で価格が安くなる傾向にあります。
その他にも化学工場や牛舎・豚舎・養鶏場の近くなどもにおいが原因で嫌われる傾向にあるため、相場よりも価格が安くなりがちです。

土地の大きさ・形状によっても変わる

土地の大きさや形状によっても金額は異なります。
土地が大きくなればその分価格が高くなることは想像できるかと思いますが、土地の形状によっても価格差が生まれます。
価格を判断する基準は「家が建てやすいか、生活しやすいか」です。

たとえば上図のようなA~Cの3つの土地があったとします。土地価格はどうなるのでしょうか?

Aは「整形地」と呼ばれ、最も家が建てやすく、価格が高く設定されます。
Bは「旗竿地」と呼ばれ、見た目が旗のようになっているのが特徴です。旗竿地の道路と接している進入路部分は駐車場に使うなど用途が限定されてしまいます。
そのため、AとBが同じ面積とした場合、実質建築に使える部分はAの方が広くなり、価格もAが高く設定されることがほとんどです。
Cは「変形地・不整形地」などと呼ばれ、その形状によっては建築がしにくいケースや活用の難しいデッドスペースが生まれてしまいます。
こちらも同様にAと同じ面積とした場合価格は低く設定されます。

土地の条件による価格の違い

土地の条件も価格に影響します。
土地の価格に影響を与えるものとしては、

土地の向き

土地の向きは日当たりに影響を与えます。

Aは南向きの土地のため建物の前に日をさえぎるものがなく、日当たりがよい傾向にあります。
Bは目の前にAの建物があることで日がさえぎられ、日当たりが悪くなってしまうことがあります。
そのためこの2つを比べると一般的にAの方が、価格は高く設定されます。

土地の高低差も価格に影響します。
同じ立地でもまわりより高さのある土地は、上り下りなど生活がしにくくなるため、価格が下がる傾向にあります。
建築する場合に擁壁(高低差のある土地で、側面の土が崩れるのを防ぐために設置される壁状の構造物)をつくったり、上下水等の配管距離を長くなったりするため、建物を建てる場合にコストがかかってしまうことも難点です。

ただ、このあたりは、実は正解がありません
高い土地だから絶対にいいとは限りません。
日当たりはAの方がよくなりますが、北面道路(Bのパターン)などは建物の南に(Bという文字があるあたり)にプライベートガーデンがつくれますし、LDKもプライバシーが守られたりします。
つまり、皆さんが「何を優先するか」が大事なポイントです。

「分譲地」と一般の土地で価格って違うの?

分譲地と一般の土地もここまで挙げた理由をもとに価格が決まる点は同じです。
ただし、分譲地の場合は、家を建てることを条件につくられるため、上下水などのインフラ設備が整っていたり、隣土地との境界の位置もはっきりしていたりするため、余分な諸経費がかかりにくい点が特徴です。
一般の土地の場合、場所によっては敷地まで水道が通っていないケースや隣地との境界がはっきりしていないため、測量をして境界をはっきりさせるために費用がかかってしまうケースがあります。
その費用が諸経費として販売価格に加わっている場合もありますので、事前に確認することをオススメします。

土地について詳しく知りたい方はこちら

どういった建売住宅(分譲住宅)を選べばいいのか?

価格差の理由をある程度つかんだうえで選ぶ

ではどういった建売住宅(分譲住宅)を選ぶのがいいのでしょうか?
結論としては、「価格差の理由をある程度つかんだうえで選ぶ」ことが大切です。
もちろん全部はつかめません。
先ほども解説した通り壁は壊せませんし、営業担当者も「この木材に使っている樹種と等級と含水率を教えてください」と聞いても、ほとんど答えられないと思います。
なるべく後悔・失敗しない建売購入の手順例を以下に示します。
必ずしもこれが正解ではありませんが、参考になると思います。

まずは、金額ばかり気にせず、希望のエリア内の建売を実際に見てみる。

見るだけは無料です。
インターネット検索だけで済ませるのではなく、立地や分譲地の雰囲気を感じましょう。

営業担当についている設備、使っている部材、素材などを質問する。

  • 耐震等級3等級を取得しているか(これはマスト、命より大切なものはない)
  • 長期優良住宅を取得しているか
  • ZEH基準を満たしているか
  • 施工記録・施工写真がしっかり保管されているか。

は必ず確認するようにしましょう。

イニシャルコストとランニングコストを質問する

  • 初期費用の金額と、60年間でかかるメンテナンス費用はおおよそどれくらいか。
  • それは、いつのタイミングでどういったメンテナンスが必要になるのか(主には外壁塗装、屋根塗装、コーキングなどの雨漏れ対策の3点は必ず確認)
  • 保証は何年ついていてどのような内容なのか(10年の瑕疵担保保証は必ずつきます) 
  • 何かあった場合のアフターフォローはどうなっているのか(どのような連絡手順で体制はどうなっているのか)

価格差には必ず「理由」がある

建売住宅(分譲住宅)には安いものも高いものもあります。
企業努力によりいいものをより安く提供している建売住宅(分譲住宅)もありますが、基本的にはここまで挙げたように安い・高い理由が必ず存在します。
深く考えずに安いからと購入するのではなく、長い目で見たときに何が自分にとって最適なのかをしっかり考えたうえで選ぶようにしましょう。
家は一生ものです。長い目で見て後悔のないマイホーム選びを皆さんができることを願っています。

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