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安心して暮らせる家づくりのポイントとは?

バリアフリー・ユニバーサルデザインで叶える!
安心して暮らせる家づくりのポイントとは?

本記事ではバリアフリー・ユニバーサルデザインの観点から空間別の注意点や間取りのポイントを解説していきます。
バリアフリー住宅と聞くと、高齢者や障がい者のために採用するイメージがありませんか?
しかし、家自体の耐久性もあがり、平均寿命も長くなっている現代の暮らしで考えた場合、バリアフリー・ユニバーサルデザインの考え方は誰もにとって重要な検討ポイントです。
特に近年では、60歳を超えて新たに建て替えや住み替えを検討する方が増えてきております。
そのような方は特に本記事をご注目ください。

バリアフリーとは

高齢者や障がい者にとって社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的な障壁(バリア)となるものを除去するという意味あいで使われます。

住宅におけるバリアフリー(バリアフリー住宅)の考え方

小さな子どもから高齢者、障がいのある方まで安心して暮らせるために、建物内の段差をなくし、車椅子等でも通れる広さの確保や手すりの設置、引き戸を採用するなど「安全性や快適性」に考慮した住宅のことを指します。
今まではバリアフリー住宅=高齢者や障がい者のためのものというイメージがありましたが、建物自体の耐久性も長くなり、平均寿命も延びてきていることから、若くして新築する際にもバリアフリーの考え方を取り入れる方が増えています。
その最たるものが「平屋」であり、階段のないワンフロアで暮らせる住まいが全年代にわたり、人気となっています。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

バリアフリーの考え方と似ているものに「ユニバーサルデザイン」というものがあります。

バリアフリーは障壁(バリア)を除去するという考え方から生まれたものですが、ユニバーサルデザインは、障がいの有無、年齢、性別、人種等にかかわらず、すべての人にとって利用しやすいデザインをコンセプトにしています。

  バリアフリー ユニバーサルデザイン
対象者 高齢者や障がい者 (障がいの有無、年齢、性別、国籍、言語、人種、宗教を問わない)すべての人
普及方法 法律に基づいた行政指導型 良いものをほめたたえ、推奨する民間主導型
考え方 障壁(バリア)を除去(フリー)する すべて人が利用しやすいデザインとする

似ている2つの考え方。混同されやすいのはなぜ?

「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」はなにが違うのか分かりにくいですよね。
そこで、ひとつ例をあげて違いを考えてみます。

バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)では、一定の大きさの建築物を建築する場合に建築物移動等円滑化基準への適合が義務付けられています。
そのため公共施設等の場合に法令に則り玄関の階段部分をスロープにする必要があります。
これが「バリアフリー」です。

一方で法令による義務はないものの、あらゆることを想定してすべての人が使いやすいように考えると玄関はスロープにした方がいいよねという考え方。
これが「ユニバーサルデザイン」です。

過程は違うものの最終的に完成したデザインは一緒。これが混同されやすくなっている理由といえます。

共通するのは「やさしさと思いやり」

対象や考え方こそ異なるもののどちらにも共通するものとして対象者(利用者)にとってより使いやすいものにしようとする「やさしさと思いやり」があります。
一人ひとりが快適に暮らせる世の中を目指している点においては共通しています。

バリアフリー住宅はなぜ重要なのか?

厚生労働省「不慮の事故死亡統計」(2023)によると、令和5年(2023年)の不慮の事故による死亡数(人)は44,380人となっています。

令和4年(2022年)の43,420人、令和3年(2021年)38,296人と比べても増加傾向にあります。

その主な内訳は多い順に

  1. 転倒・転落・墜落:11,777人
  2. 不慮の溺死及び溺水:8,982人
  3. 不慮の窒息:8,638人

となっています。
交通事故が3,568件と考えるとその多さが際立ちます。
つまり、住まいを整えておけば一定数の室内事故を防ぐことができるともいえます。

バリアフリー住宅はなにが重要?考えるべき4つのポイント

バリアフリー住宅を考えるうえでは、以下の4つについて考慮しましょう。

  1. できる限り段差をなくす
  2. 転倒のリスクを軽減する
  3. 生活動線に配慮する
  4. 家全体の温度差をなくす

それぞれを詳しく解説します。

1)できる限り段差をなくす

バリアフリー住宅を考える上でいちばんに考えることは「室内の段差をなくす」ことになります。
段差はなにも玄関や階段のステップの高さなど目に見える大きな段差だけではありません。ドア部分に出てくる敷居やフローリングと畳の間にできるわずか数mmの小さな段差解消も重要です。
特に小さなお子さまや高齢者にとって小さな段差は視認しにくく、転倒につながりやすくなります。
そのため、大小問わず段差をなるべくつくらないように計画しましょう。

2)転倒のリスクを軽減する

先にあげた段差の解消もそうですが、玄関スロープや廊下などに手すりを設けることでリスクを軽減することが可能です。

新築当初からすべての箇所に手すりを設置するかは要検討ですが、手すりを設置しても通りにくくならないよう廊下の幅を設定しておく、手すりがつけやすいように壁に補強用の下地を入れておくなどの対策も有効です。

また、室内のドアを開き戸ではなく、引き戸に変更することも効果的です。

開き戸はノブを操作しながら前に押すもしくは後ろに下がるという2つの動作が必要になります。

一方で引き戸はその場にいながら左右どちらかにドアを引くという1つの動作でよいため、転倒のリスクを軽減することが可能です。

場所によってはドアをなくすのも1つの対策になります。
寝室などの個室にある収納は基本家族以外が見ることは少ないため、思い切ってドアをなくすことも有効といえます。(コストも抑えられてダブルで安心!)

3)生活動線に配慮する

バリアフリー住宅を考える上で動線の配慮も重要です。できるだけ動線を短く・シンプルにすることが必要不可欠となってきます。

その最たるものが平屋住宅でワンフロアにして上下の動線をなくすことで生活動線が非常にシンプルになります。

また、寝室とトイレや浴室などの水回りを近くに設置し、移動の負担を軽減するように配慮しましょう。
廊下をなるべく少なくすることも動線の短縮になりますが、廊下をつくる場合コーナー部分を曲がりやすいように面取り(めんとり)しておくことなども有効です。

4)家全体の温度差をなくす

そして忘れがちですが重要なのが「家全体の温度差をなくす(温度のバリアフリー)」ことです。

みなさん「ヒートショック」という言葉はご存知でしょうか?

冬場に暖房の効いた部屋からお風呂に入るために洗面所で衣服を脱ぐ。その状態からさらに寒い浴室へ移り湯船に浸かり温まる。その際に起こる急激な温度差により、血圧が一気に上昇・低下することで心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。 この一連の状態を「ヒートショック」と呼びます。

ヒートショックによる死亡数は多い年で年間1万9000人(※)にも数えられ、寒い地域だけでなく、温暖な地域でも多く発生しています。

寒い地域は元々寒さに対する対策を施していることが多いのに対し、暖かい地域ではその対策が十分でないことがその理由にあげられます。

こうした家全体の温度差をなくすこと(温度のバリアフリー)も住宅を建築するうえで重要です。

空間別バリアフリーのポイント

バリアフリー住宅を考えるポイントをおおまかにお伝えしました。 ここからは空間ごとに考慮しておくとよいバリアフリーデザインについて触れていきます。

玄関バリアフリーのポイント

玄関は段差が多く、靴を脱いだり履いたりする姿勢がバランスを崩しやすく、事故の多い場所になります。玄関の主なポイントとしては3つです。

  • スロープでアプローチできるようにする
  • 滑りにくい素材を選ぶ
  • 補助として手すりや椅子を設置する

スロープでアプローチできるようにする

小さなお子さまや高齢者、障がい者にとって玄関ステップは大きなハードルになります。
手すりを設置するなどして段差を上りやすくする対策もできますが、いちばん効果的なのは玄関スロープの設置です。

スロープを設置する場合はその勾配も重要で、基本的には「1/15」よりも緩やかにしましょう。

具体的にいうと段差が10cmある場合、その長さの15倍150cmの長さが必要になります。
車椅子の場合自力で登れる勾配は1/12までと言われており、それ以上の勾配となると介助が必要になります。

ただし、敷地に制約がある場合スロープの設置が難しくなってしまうこともあるため、注意しましょう。

滑りにくい素材を選ぶ

玄関タイルには滑りにくいものを選びましょう。
特に屋外部分のタイルは、雨に濡れることでより滑りやすくなるため、水はけや吸湿性の高い、滑りにくい素材を選ぶようにしましょう。
手触りがザラザラしているタイルは滑りにくく安全性が高くなります。 一方でツルツルした素材のものは汚れがつきにくく、お掃除はしやすい反面滑りやすくなるので靴で歩く部分に採用するのはオススメできません。

補助として手すりや椅子を設置する

靴を脱いだり、履いたりする際に立ったまま動作をしようとすると不安定な体勢になります。手すりを設置するとつかまり動作が可能になり、体勢が安定しますし、土間から玄関に上がる際に上りやすくなります。
また、スペースに余裕がある場合は玄関に椅子やベンチを設置するのもオススメです。
座って動作をすることが可能になるため、大きく腰を曲げるなど無理な姿勢になりにくいため安定します。
合わせて採用できればベンチからの立ち上がりもスムーズになりなおよいです。

浴室バリアフリーのポイント

浴室は先にあげたヒートショックの起こりやすい場所になります。
また水を使うため、滑りやすく転倒の起きやすい箇所でもあります。浴室は主に以下の4点に注意して設計しましょう。

  • 床材は滑りにくいものを選ぶ
  • 浴槽への入りやすさにも配慮する
  • 浴室入り口の幅・高さも考慮する
  • 温度差をなるべく軽減する

床材は滑りにくいものを選ぶ

入浴する際は裸足になるため、床材によっては滑ってしまい事故につながりやすくなります。
そのため、滑りにくく、乾きやすい床材を選ぶことが重要です。
また、タイルなど素材によっては冬場足元が冷たくなってしまうものもあるため、合わせて素材選びの参考にしましょう。

浴槽への入りやすさにも配慮する

浴槽をまたいでお湯に浸かる姿勢も体勢を崩しやすく、事故につながりやすいので注意です。

対策は、主に浴槽の高さと手すりの設置です。

浴槽のフチが高いとまたぎにくく、転倒につながりやすくなってしまいます。理想的な高さの目安は40cm程度といわれています。

また浴槽をまたぐ際、洗い場の立ち座りの動作、浴槽内での姿勢保持など補助として手すりも設置しておきましょう。
浴槽のフチに腰掛け安全に入浴できるシットレストなども採用するとなお安心です。

浴室入り口の幅・高さも考慮する

使いやすい浴室にするために、入り口の幅や段差にも考慮しておきましょう。
通常の折戸タイプの場合、車椅子で使用することまで考えると通り抜けが難しくなってしまいます。幅広く開口のできるタイプのドアを採用しておくと安心です。
また脱衣所と浴室の間に段差が生まれないようにすることで車椅子の出入りやつまずきの予防をすることも可能です。
一方で開口幅が大きくなる分壁が少なくなってしまうため、脱衣場に大きな収納を配置しようと考えている場合は注意が必要です。

温度差をなるべく軽減する

冬場になるとリビングや寝室などの居室と廊下や洗面所、浴室の温度差が大きくなり、前述した「ヒートショック」が起こりやすくなります。
そのために重要なのが、室内の温度差をなくすことです。
(温度のバリアフリー)方法としては、浴室乾燥機(暖房機)を設置し、入浴の前に予備暖房しておく方法があります。事前に浴室を暖めることで室内の温度差を軽減し、血圧が大きく変動しないよう対策します。

また、断熱の観点から最近注目されている窓のない浴室も対策になります。
壁に比べ窓は断熱性が落ちるため、冬場冷気が伝わりやすくなります。
最近では換気扇の性能も高くなり、掃除などメンテナンスの観点からも優れているため、窓のない浴室の採用もよいでしょう。(コストも削減できます)

脱衣所・洗面所バリアフリーのポイント

浴室につながる脱衣所・洗面所ですが、大きく2つの箇所に注目して対策しましょう。

  • 開閉しやすい扉を選ぶ
  • 洗面台の形状にもこだわる

開閉しやすい扉を選ぶ

洗面所に限った話ではないですが、扉は基本的に引き戸タイプにしておくと出入りがしやすくなります。
洗面所や脱衣所は洗濯機や洗面台・収納などいろいろと設置されているため、スペースが限られていることが多く身動きが取りにくくなります。そのため、省スペースで動作のできる引き戸にしておくと便利です。
また、上吊り式の引き戸を採用することで床のレールをなくすことができるため、段差が生まれずより安全ない動画可能となります。

洗面台の形状にもこだわる

洗面台も車椅子や座っての利用を想定しておくと安心です。
多くの洗面台は洗面ボウルの下が収納となっています。しかし、車椅子などの場合足が入らないためそれだと使いにくくなってしまいます。

画像のように下がフリーになっているものを選ぶとその点解決することができます。
注意点としては、その分収納量が減ってしまうため、別の箇所で補填できるように間取りを考えましょう。

トイレバリアフリーのポイント

1日の中でも何度も使用するトイレは特にバリアフリーを考えておきたい箇所です。
どんなところに気をつければよいのでしょうか?ポイントは以下の4つです。

  • スペースを確保する
  • 手すりを設置して立ち上がりをサポート
  • ドアと便器の位置関係で使いやすさが変わる
  • 寝室からの距離も考えておく

スペースを確保する

車椅子を利用している家族がいる場合や将来に備えて広く準備しておきたい場合は、

  • ドアの開口部分を800mm以上確保
  • 便器の先から壁までを600mm以上確保

を目安に準備しましょう。
車椅子での介助が必要な場合は「幅1650mm×奥行き1650mm」以上あると安心です。
そこまでのスペース確保が難しい場合は、廊下スペースなど隣接する空間をうまく活用できるように間取りを工夫しましょう。

手すりを設置して立ち座りをしやすくする

トイレにも立ち座りをサポートするために手すりを設置しておくと安心です。

その場合、I型ではなくL型の手すりを採用しておくといいでしょう。
縦型の手すりが立ち座りをサポート、横型の手すりは座っている際の姿勢の保持や手すりを握る力が弱い場合に肘ごと乗せて体を支えることが可能です。

ドアと便器の位置関係で使いやすさが変わる

トイレのドアと便座の位置関係を考慮しておくことで将来に備えておくことも可能です。
間取りにもよりますが、Aのように設置しておけば車椅子から便座への横移動が可能になります。

一方でBのような位置関係だと180度反転する必要があるため、便器の前に十分なスペースがないと動きにくくなる可能性があります。
しかし、Bの場合は図のようにトイレ内に引き戸の引き代をつくることができないため、スイッチの位置や隣の空間とのバランスを考える必要があります。

寝室からの距離も考えておく

歳を重ねるにつれトイレの頻度は増えていきます。
そのため、ほかの間取りとの兼ね合いもありますが、できれば

  • 寝室とトイレの距離を近くする
  • 寝室からトイレまでの動線をシンプルにする
  • 足元灯を設置するなど安全にも配慮する

など配慮しておくと将来的に安心です。

キッチンバリアフリーのポイント

キッチンもまた毎日複数回使うことが想定されるため、バリアフリーについて考えておきましょう。
主なポイントとしては3点です。

  • 広めのスペースを確保しておく
  • 棚の高さまで配慮する
  • メンテナンスしやすいものを選ぶ

広めのスペースを確保しておく

キッチンのカウンターと背面収納の間隔を広めにとっておくと使いやすくなります。

通常のキッチンの場合は「90-100cm」程度の間隔を確保することが一般的ですが、車椅子での移動や椅子に座っての作業を考えると「110-120cm」程度確保するように考えましょう。

棚の高さまで配慮する

高齢者や小柄な人にとっては背面収納の吊戸棚は高くて使いにくくなります。
普段使いできないのであれば思い切って吊戸棚を外しましょう。

最近では、背面スペースに小物を飾ったり、カフェのようなディスプレイとしてインテリアを楽しんだりする方も増えています。
また、電動昇降式の吊り戸棚もあるため、収納量を優先させたい場合はこのような設備も検討しましょう。

メンテナンスしやすいものを選ぶ

キッチンもメーカーや選ぶものによって仕様がさまざまあります。
家事の負担を軽減してくれる代表家電「食洗機」やカウンターとの間につなぎ目のないお掃除のしやすいシンク、自動洗浄機能のあるレンジフードなど便利な機能が備わった設備も多数あります。
歳を重ねることで段々と家事の負担は大きくなってしまうため、軽減できるような工夫を事前に考えておきましょう。

まだまだあるキッチンのバリアフリーポイント

キッチンのバリアフリーポイントはまだまだあります。例えば、

  • 手元が明るくなるように照明計画を考えておく
  • 安全装置のつけいたコンロや火を使わないIHクッキングヒーターを採用しておく
  • 滑りにくい床材を選ぶ
  • 汚れにくいまたは汚れが落ちやすい床や壁材を選ぶ

などなど事前に考慮しておくことで後々の使いやすさが変わってきます。

また一般的にキッチンカウンターの高さは
『身長÷2+5cm』
が理想的と言われています。

例えば160cmの女性の場合「160÷2+5=85cm」になります。
また、車椅子を想定した場合は70cm程度が使いやすいとされています。
ただし、キッチンの高さは少し違うだけで肩や腰に負担がかかってくるため、事前にどこまで検討しておくか家族と相談した上でショールームなどで確認するようにしましょう。

リビング・ダイニングバリアフリーのポイント

リビングやダイニングはいちばん長い時間家族が生活する空間になります。
基本的なものとして段差をなくすことやドアを引き戸にしておくことなどが共通したバリアフリーポイントポイントになりますが、忘れがちな点として以下の3点も考えておきましょう。

  • 段差によってはプラスになることもある
  • 家具選びも重要
  • 全館空調で部屋ごとの温度差軽減

段差によってはプラスになることもある

小さな子どもや高齢者にとって視認しにくい小さな段差は危険です。
室内を移動する際にフラットな床だと思ってつまずいてしまうということがよく起こります。

一方で高さ40cmほどの小上がりスペースは床に比べ立ち座りの負担も少なく、ちょっと休憩するのに最適な空間になります。

インテリアとしてもアクセントになるため、オススメな空間です。(コストはかかるので注意)

家具選びも重要

家具はあとからでも変えられるため、間取りや設備・仕様ほど優先度は高くないですが、ものによっては使いやすさが大きく変わるため配慮しておきましょう。
例えばダイニングテーブルの高さ。 車椅子を使用した家族がいる場合は、車椅子のまま入れる高さのテーブルを採用する、または高さの調整できるテーブルを選ぶようにしましょう。

また、バリアフリーを考える上で見落としがちな家具がソファです。
フカフカのソファに包まれるように埋もれたい!という願望を持った人もいるかと思いますが、フカフカなソファはバリアフリーの観点から見るとNGです。
姿勢が安定しにくく、体が埋もれてしまうため、立ち上がりの動作がしにくくなります。

1日に何度も立ち座りする場所になりますので、実物を体験するなどして選ぶことをオススメします。

全館空調で部屋ごとの温度差を軽減

ほとんどの方がリビングやダイニングにはエアコンなどの空調設備を採用するのではないでしょうか?
しかし、先ほどお伝えしたようにリビングだけエアコンを入れて快適にする、脱衣室や浴室に暖房を置いてそこだけを暖めるといったような局所的な対策では温度のバリアフリーとはいえません。
リビングから廊下を通ってトイレに、玄関で来客の対応などさまざまなシーンで温度差が発生します。
そのためには、基本的な断熱性能を高めることも重要ですが、家を1つの部屋と捉え、空間ごとの温度差がなくなるように配慮することが大切です。

代表的なシステムとしては、「床暖房や全館空調」などがありますので導入を検討するのも1つの対策になります。

また、お金をかかずに間取りの一工夫でも対策できます。
それは「なるべく廊下を設けないこと」です。

LDKから直接洗面所やトイレなど他の空間つながる間取りにすることで家の空気が循環し、部屋ごとの温度差を軽減することが可能です。
また、部屋の上下の温度差(水平温度差)も考慮しなければなりません。
床だけが暖かく、部屋全体が寒い(床暖房使用時)、また足元は寒いが、頭は熱でボーっとする(エアコン使用時)となると、自律神経の乱れの原因となり、自律神経失調症などの原因となる場合もあるようです。
気密性断熱性の高い家で、吹き抜けや天井が高い家はシーリングファンを取り付けるなどの工夫も必要です。

階段・廊下バリアフリーのポイント

平屋を採用することで階段のないワンフロアの暮らしができること、廊下をなるべく設けないことで温度も含めたバリアフリーになることをここまでにお伝えしました。
とはいえ間取りによってはどうしても階段や廊下が必要になってきます。
その場合は以下の2点について配慮しましょう。

  • 手すりを設置する(手すりを設置できるよう準備しておく)
  • 階段の勾配を緩やかに設定する

手すりを設置する(手すりを設置できるよう準備しておく)

階段にはきちんと手すりを設置しましょう。その場合に検討したいのが左右どちらに手すりをつけるのか?です。
一般的に回りながら昇るタイプの階段の場合外側に手すりがついているのが一般的です。
しかし、どちらでもいいからついていればいいかというとそうとも言い切れません。

人には利き手というものがあります。
多くの人が利き手の方がつかむ力が強いでしょう。

そのため、昇るときに体を引っ張る意味で利き手側に手すりを設置したくなるのですが、実はこれは不正解です。
なぜかというと降りるときの方がなにかあったときに大きな怪我につながりやすいため、降りるときに手すりが利き手側になるように設計しましょう。

廊下についても手すりがあることが望ましいですが、差し当たって必要ではない場合、広さによってはかえって邪魔になってしまうかもしれません。
そのような場合は手すりを設置しても通りにくくならないよう廊下の幅を設定しておく、手すりがつけやすいように壁に補強用の下地を入れておくなどの対策を検討しておきましょう。

階段の勾配を緩やかに設定する

バリアフリーを考えると階段のないワンフロアの暮らしが望ましいですが、敷地の広さや家族の人数などの制約によっては、どうしても平屋住宅が難しくなってしまいます。
そんな場合は採用する階段の勾配をなるべく緩やかなものにしておきましょう。
また、踏面(ふみづら:足を置く場所)を広めに設定する、階段の先端にノンスリップといった滑り止め用のゴムを設置することでより安全性を高めることが可能です。

まとめ

いかがでしょうか?

今回の記事では、バリアフリー・ユニバーサルデザインを考えた間取りを考えるポイントについて解説させていただきました。
新築する際の年齢や家族構成によってもどこまで採用しておくか異なりますが、将来的なバリアフリー対応に大きな費用がかからないよう事前に検討するようにしておきましょう。

セキスイハイム東海では今までに建てていただいたさまざまな建築実例をホームページにてご紹介しております。バリアフリーのヒントになる実例もありますのでぜひご覧になってみてください。

また、バリアフリー・ユニバーサルデザインを取り入れた住宅展示場も県内各所でご覧いただけます。
実際に体感いただきながら具体的な間取りの工夫や注意点について相談してみてはいかがでしょうか? ぜひお気軽にご来場ください。

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