コスパ・タイパに続き、最近注目されている「スペパ」という言葉をご存知でしょうか?
こちらの記事では注文住宅を検討している方々にとって、スペパがどのように役立つのか、どのように暮らしが変わるのかをお伝えします。
この記事を読むことで、スペパの基本的な概念から具体的なメリット、実際の事例までを理解することができます。注文住宅を検討中のご家族はぜひ最後まで読んでみてください!
スペパとは?
スペパとは、スペースパフォーマンスの略になります。
空間対効果を表す言葉で家づくりにおいて昨今注目を集めるワードとなっています。
単に空間を効率的に使うということだけでなく、限られた空間でもって最大限の効果を発揮するように本来デッドスペースとなるスペースを活用したり、1つの空間や設備で2役を兼ねることで快適性を高めることを指します。 これらの工夫を凝らした住まいをスペパの高い住まいと呼びます。
コスパやタイパと何が違う?

コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)と異なり、スペパ(スペースパフォーマンス)は空間の効率性に焦点を当てています。
コスパは費用対効果、タイパは時間対効果を重視しますが、スペパは空間の使い方を最適化することで、住まいの価値を高めることを目指します。

「スペパの高い住まい=無駄の少ない空間で最大限に効果を発揮した住まい」
となるため、スぺパを意識することでコスパやタイパも高まるケースが多く見られます。
例えば、キッチンカウンターの背面を収納にすることができれば、ダイニングテーブルから座ったまま手の届く位置に収納ができます。
そうすることで別途書斎を設けなくても作業をすることが可能になり、その分家がコンパクトになります。
なぜスぺパが注目されるの?

スペパが注目されはじめた背景には建設費の高騰が大きく影響しています。
高騰の原因としては、慢性的な職人不足による人件費の増加や働き方改革による労働時間の削減、新型コロナウイルス以降のウッドショックやウクライナ問題などにおける原材料価格の高騰そこに円安の影響もあり、建設費は年々右肩上がりに増加しています。
建設費が高騰すると同じ大きさの家を建ててもどんどん高くなってしまいます。
そこで注目され始めたのが住宅のコンパクト化です。
核家族や夫婦2人暮らし、シングル世帯など家族の有りかたも多様化したことで、自分たちに必要なものを過不足なく取り入れた家の実現、ムダにお金を掛けないという考え方が徐々に広がり始め、コスパやタイパ、そしてスペパが注目されるようになりました。
スペパで暮らしがどう変わる?
スペパを意識して家づくりをすることでどのようなメリットがあるのでしょうか? 解説します。
空間の使い方が効率的になる
スペパを意識した家づくりをすることでデッドスペースやムダな動線が少なくなります。
特に収納などのスペースが効率的に設計されることで、モノの整理整頓がしやすくなります。 物を探す手間も減ることで、時間や心の余裕が生まれます。
ストレスの軽減にもつながる
家の中の動線がスムーズになるよう設計されるため、日常の移動や家事の効率も高まります。
それにより、時間的な余裕が生まれ、ストレスの軽減につながります。
コストの削減にもつながる
スペパを意識することで、コストの削減にもつながります。
収納スペースや空間を無駄なく使うためにモノを購入する前に「本当に必要かどうか?」を考えるようになり、節約の意識が高まります。
1つの空間で複数の用途を兼ねる使い方を意識できれば、従来より必要なスペースを削減できるため、建設費も抑えることが可能になります。
注文住宅におけるスペパの事例・アイデア
コストの削減にもつながるスペパを意識した住宅づくり。
具体的なアイデアな事例やアイデアとしてはどのようなものがあるのでしょうか?
スペパのコツは空間を縦に使うこと

スペパの高い家づくりを叶える上で重要なのは「空間を縦に使うこと(立体的に使うこと)」です。
例えば子ども部屋を例にして考えるとベッドと勉強机の配置が挙げられます。
平面に別々で配置した場合それぞれの設置スペースが必要になりますが、2段ベッドの1段目にデスクを、2段目にベッドを配置することで部屋を縦に使うことが可能になります。
そうすることで部屋自体の広さも縮小でき、スペパが高まります。
ホールを省略「省スペース玄関」
玄関にホールや廊下をつくらずに靴を脱ぐ部分に段差をつけるだけで入るとすぐLDKというパターンです。
玄関ホールだけでも1-3畳程度のスペースを取ることが多いため、その分スペースを削減できます。
また玄関に入ったときに視線も広がるため、開放的な印象を与えられるものメリットです。
一方で片付いていないと目立ってしまう点や気密・断熱性がしっかりしていないと暑さ・寒さが伝わりやすい点はデメリットです。
ホールは作らないものの土間からつながる収納スペース(土間収納)などを別途つくることで収納量の確保も可能です。

リビングダイニングの一体活用

スペパを意識した間取りの1つにリビングダイニングの一体利用があります。
通常食事をするスペースとしてのダイニングとくつろぐ・団らんの場として使われるリビングは別々の用途で使われます。
ダイニングにはダイニングテーブルや椅子、リビングにはソファやテレビなどが配置されることが一般的です。
しかし、生活スタイルによっては必ずしも分かれている必要はありません。
同じ室内にいながらも別々のことをやっていることも増え、昔のように1つのテレビ番組を家族みんなで見る姿も少なくなってきました。
であれば最初から大きなソファを置くのではなく、小さなソファで十分、どうせみんなで集まらないなら最初からソファをなしにしてしまうという考え方もできます。
家具を置いてしまうとその用途でしかその空間が使えなくなってしまうため、あえて何も置かない余白部分をつくることもスペパを意識した家づくりには重要です。
スペパLDKのワンポイント①
スペパアイデアの1つとして、近年人気のアウトドアグッズの日常利用があります。
エアカウチのような空気を入れて膨らませるソファやアウトドアテーブル、折り畳み式の椅子などを日常の家具として使うといったアイデアです。 室内でもアウトドアの雰囲気を楽しめるため、アウトドア好きの方におすすめです。

スペパLDKのワンポイント②
みなさん「ステルス家電」をご存じでしょうか?
家具と家電を一体化したデザインの家電のことを指しますが、一見して家電に見えない点が特徴です。
例えば、
- 冷蔵庫一体型のリビングテーブル
- 照明一体型スピーカー、照明一体型3in1(シーリングライト、プロジェクター、スピーカー)
- サイドテーブル一体型の空気清浄機
- インテリア性の高いマッサージクッション
- バスマットとして使える体重計(スマホ連携)
などほかにも様々なステルス家電がありますが、1台2役の家電や家具を使うこともスペパを意識した家づくりと言えます。
畳コーナーという考え方
住宅のコンパクト化に伴い、従来の和室を設置する住宅は減少傾向にあります。
そのような方におすすめなのがLDKの一角に2-3畳程度のスペースを配置する「畳コーナー」をという考え方です。
キッチンなどで別の作業をしていても目が届くため様々な用途に使えます。
例としては、
- 赤ちゃんを寝かせておく
- 小さなお子さまの遊び場
- 洗濯物をたたむ・アイロン掛けスペース
- お昼寝スペース
- ひな人形や五月人形の置き場
など様々です。
また畳を小上がりにすることで足腰に負担を掛けずに腰掛けられる休息スペースとしたり、畳を外してその下を収納として利用することも可能です。スペパも高まりますね♪


小屋裏空間の有効活用

小屋裏とは天井と屋根の間にあるデッドスペースを指しますが、この空間をきちんと整えれば収納や趣味のスペースなど様々な用途で使うことができます。
一定の高さや広さを超えてしまうと居住空間とみなされ固定資産税も高くなってしまうため、採用率は高くなかったものの、コンパクト化の影響もあり、近年では平屋×小屋裏の1.5階建ての住まいも増えてきました。
2階建てを建てるのはもったいない、でも平屋だと少しスペースが足りないそんな時に検討してみてはいかがでしょうか?
思い切ってバルコニーをなくしてみる
共働き世帯で基本的に室内干しをしている、乾燥機を使って乾かしているという方はバルコニーをなくしてしまうのはいかがでしょうか?
バルコニーをなくすことで、防犯性が高まり、掃除の手間も削減できます。外観もスタイリッシュになり、コストも抑えられます。
ただし、大きな布団を干したり、バルコニーへの掃き出し窓がなくなることで窓面積が小さくなり日射が減るなどのデメリットもあります。
バルコニーをなくす場合は、メリット・デメリットを考えて取り入れるようにしましょう。

工夫次第で収納力アップ
収納を大きく取れない場合でも収納の仕方で収納力は変わります。
さきほどもお話ししたようにスペパのポイントは縦に使うこと(立体的に使うこと)です。
図にあるようにバラバラの高さの衣服を考えなしに掛けてしまうとムダな空間が生まれてしまいます。
しかし、高さを揃えて服を掛けることにより本来置けなかった高さの棚や小物を置くことが可能になります。 収納方法を考えることもスペパを高める上では重要なポイントです。

【実邸紹介】スペパを意識した家づくり
こだわりこそが満足感に!夫婦ふたりのミニマムで洗練された平屋暮らし

広々としたリビング・ダイニング・キッチンの一角には、奥さまの書斎スペースを用意。
「もともとは書斎を別の部屋にしようと考えていたんですけど、スペースがもったいないと思ってリビングに書斎スペースを作りました。キッチンとの行き来もしやすくなって、家事も楽になりました」と笑みを浮かべる奥さま。
キッチンはII型キッチンにしたことでスムーズな動線も確保されました。
「二人でリビングに立ってもぶつからなくなりました。まぁ、ぼくは食器を洗うくらいなんですけど(笑)」と笑顔で話すご主人。
もともと書斎になる予定だったスペースには、ご主人こだわりの小上がりを設置。
「展示場で気に入って、どうしてもつけたいと思ったんです。今はダイニングテーブルとして使っています。我ながら良いものを付けられました」とご主人は腕を組んで、大きく頷いていました。


自分たちらしさを大切に、やわらかな北欧ナチュラルな暮らし

リビングの階段下にはおうち型の入り口のヌックを設置。
星型の照明と娘さまのおままごと用のキッチンで絵本のような世界を演出。
将来的にはデスクを設置し、書斎スペースにするなどデッドスペースを有効活用している。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
スペパを意識した家づくりをすることで空間を有効活用し、コストの削減も可能になることが分かりました。
なるべくコストを抑え、無駄のない家づくりをご希望の方はぜひこちらの記事を参考に検討してみてください。