近年リモートワークを導入する会社も増えたことにより、マイホーム計画に書斎を望む人が増えています。
しかし、どう使うかによって設置する場所や作り方が変わってくることは意外に知られていません。
こちらの記事では、おしゃれで快適な書斎をつくるために考えておくべきレイアウトのポイントについて解説していきます。
書斎レイアウトのパターンは大きく3つ
「書斎」というと、どこに設置されているイメージをお持ちでしょうか。
「リビングの一角」「主寝室の近く」「独立した個室」など、書斎には様々な設置場所があります。
しかし、いずれのパターンも以下の3つのパターンに分類されます。
それぞれどういったタイプか、メリットとデメリットを紹介します。
オープンタイプ
オープンタイプとはその名の通り、別の空間の中に設けるタイプを指します。
「家で仕事やちょっとした作業がしたい。でもダイニングテーブルだと食事の準備の度に片付けないといけないし、汚れが気になる」
そんなときにおすすめなのがこちらのタイプです。
コーナーの一角にデスクを設けておくだけで、都度片付ける手間がなく、汚れを気にする必要もありません。
メリット | デメリット |
---|---|
家族(特に子ども)に目を配りながら作業が可能 | 家族が日常生活をしているため集中しにくい |
家族で共有して使うことができる | 家族がいる時間にはテレビ会議などしにくい |
空調などの温熱環境が整っている | 棚やOA機器などが設置しにくい |
コーヒーを飲みながらなどキッチンに近いため便利 | 個人の趣味を反映しにくい |
小スペースで設置が可能 |
家族のいない時間に使う、お子さまと一緒に作業したいという場合はこちらのタイプがぴったりと言えます。
しかし一方で、集中して仕事や作業をするには向きません。
またインテリアの調和もあるため、個人の趣味を前面に押し出して空間をつくることも難しいでしょう。
半個室タイプ
半個室タイプは、LDKや寝室などのほかの空間とつながりながらも、壁や収納などによって仕切って設置されているタイプです。
部屋を完全に分けているわけではないため、必要な時は家族とコミュニケーションを取ることが可能です。
しかし、音や匂いなどが完全に遮断されるわけではないため、集中して仕事や作業をするには不向きです。
メリット | デメリット |
---|---|
必要なときに家族とコミュニケーションが取れる | 空間がつながっているため集中しきれない |
棚や家具、OA機器類を設置しやすい | 家族がいる時間はテレビ会議などしにくい |
空調などの温熱環境が整っている | 寝室に隣接の場合光や音で家族の睡眠に影響してしまう |
個人の趣味をある程度反映できる | |
完全個室ほど場所を取らない |
壁や収納で2方向ないしは3方向囲まれているため、オープンタイプよりも集中した作業が可能です。
壁が増えることで物を設置できるスペースが増えるため、本棚や家具など物が置きやすくなります。
また、完全に独立した空間ではないため、エアコンなどの温熱・空気環境もが整っている点もメリットと言えます。
しかし、完全に空間が分かれているわけではないため、家族のいる時間に集中した仕事や作業をするには向きません。
また、寝室と隣接して設置する場合は、PCの明りや作業音によって家族の就寝の妨げになってしまうこともあるため注意が必要です。
完全個室タイプ
完全個室タイプは、他の空間とは完全に独立して設置した書斎タイプになります。
完全プライベートな空間のため、リモートワークやテレビ会議などもしやすく、インテリアも個人の趣味を詰め込むことも可能です。
一方で家族とのコミュニケーションが遮断されてしまうため、意識して生活しないと家族と顔を合わせる機会が減ってしまう恐れもあります。
空間の広さによっては閉塞感を感じたり、空気環境も悪くなってしまったりするため、注意が必要です。
メリット | デメリット |
---|---|
集中した作業が可能 | 家族とコミュニケーションが取りにくい |
家族がいる時間でもテレビ会議などしやすい | 設置する場所によっては部屋の行き来が面倒 |
個人の趣味を存分に発揮できる | エアコンなどを別途用意する必要がある |
光や音など家族への配慮も他に比べ少ない | 独立して空間を設けるため間取りが大きくなりやすい |
完全個室タイプのいいところは完全個室のため、集中して仕事や作業ができること、また個人の趣味に合わせてインテリアもこだわりきれるところです。そんな完全個室の書斎は夫婦喧嘩したときは一時的な逃げ場にもなります(笑)
一方でお互いに家族が何をしているか分からなくなってしまうため、「籠りすぎないようにする」「意識的にLDKに顔を出す」など家族のコミュニケーションが減らないよう配慮しましょう。
また難しいのが、温熱・空気環境です。
ほかの空間とつながっているオープンタイプや半個室タイプはエアコンなどの空調も届くため、そこまで温熱・空気環境を考慮する必要がありません。
しかし、完全個室タイプの場合は他の空間から暖気・冷気は流れてこないため、独立した計画が必要になります。特に最近の夏は暑すぎて籠っていられないため、「個別でエアコンを設置する」「全館空調を設置する」など検討する必要があります。
ほかのタイプに比べコストが掛かってしまう恐れがあるため、その点は家族でよく話し合いましょう。
【実例に見る】パターン別 書斎レイアウト10選
書斎のレイアウトパターンは大きく3つあり、それぞれにメリット・デメリットがあることが分かりました。
こちらでは、実際にセキスイハイム東海で建てていただいたお客様の実例や展示場の書斎アイデアをもとに、それぞれのタイプの書斎を紹介していきます。
是非お気に入りの書斎を見つけてください。
オープンタイプの実例3選
・キッチン隣、家事も仕事も一挙両得な書斎!(伊豆市S様)
もともとは書斎を完全個室として設置しようと考えていたS様。
しかし、スペースがもったいないと思い切ってLDKの中に書斎をオープンタイプとして設置。
結果としてキッチンとの行き来もしやすく、家事との両立のしやすい書斎が誕生しました。
また、もともと書斎を設置しようと考えていたスペースは、ご主人こだわりの小上がり空間にすることができました。
・寝室の隠れ家、心地良い書斎空間(I様)
在宅ワークの多いご主人は当初自分専用の仕事部屋を要望。
しかし「コストの面も含め、寝室の一角に書斎を設置すること」を担当者より提案され、採用することに。
寝室との間には壁を造らず、アクセントの格子を設置。結果「閉鎖的過ぎず、開放的過ぎず」の落ち着ける空間が誕生。
仕事のパフォーマンスも向上したとのことです。
・“一緒に学ぶ”家族で共有できる創作空間(掛川住宅公園展示場)
ダイニングスペースからすぐにアクセスできるため、子供の宿題を見たり、家族と話したりしながら作業をすることができます。
パソコン作業や書類を広げるのに十分な大きさのデスクと、書籍や文房具などを整理整頓できる本棚を置きました。
窓からは自然光が差し込み、昼間は電気をつけずとも明るい空間です。また、窓からの景色も楽しむことができ、作業をする上でリラックスした環境を提供します。
半個室タイプの実例4選
・男心くすぐる、書斎からの究極ガレージビュー(掛川市S様)
S様邸で一番目を惹くのは、リビングや書斎から愛車が眺められるガレージ。
ダークな色調にまとめたインテリアと、モザイクガラスをあしらった壁で、スタイリッシュな雰囲気を演出している畳の書斎からは、寝転びながら愛車を眺められます。
買い物から帰ってきてそのまま家に入れるように、ガレージ⇔書斎にも玄関を設置しました。
「間取りも機能的で、愛車を好きなだけ楽しめるので、それはもう最高ですよ(笑)」とご主人。
・広々テーブルと本棚で、書斎を楽しむ(富士市U様)
U様邸はご夫婦それぞれに書斎を設置。奥さまの書斎はキッチン脇の半個室タイプ。
書く作業が多いため、奥行のある広々としたテーブルを設置しました。
正面のオープン本棚には、趣味のCDなどをオシャレに収納でき、仕事中に眺めることもしばしばあるそうです。
ご主人の書斎のコンセントは「漫画喫茶」。趣味のカメラ用品も並ぶ、ワクワクする秘密基地のようです。
・落ち着いた雰囲気に包まれた1.5帖の贅沢空間(浜松デシオ展示場)
ダイニングキッチンに隣接する1.5畳の書斎空間。
背面には一面の本棚があり、お洒落に飾れるウォールシェルフも設置されています。
広いLDKの中にあって唯一区切られ、落ち着いた雰囲気に包まれています。
・心地よく“おこもり”できるヌックという在り方(清水展示場)
最近トレンドにもなりつつある「ヌック」タイプの書斎空間をダイニングからつながる位置に約3畳で配置。
家族の集まる空間にありながらも居心地よく“おこもり”できる場所になっています。
ゆるやかにつながる空間がほどよい距離と心地よさをもたらします。
ダイニングより床を高くし足元を掘りこむことで、仕事と休憩をフレキシブルに切り替えられます。
完全個室タイプの実例3選
・懸垂器具、昇降するデスクを採用。リモートワーク環境を充実(清水町M様)
ご夫婦それぞれが自宅で仕事できるように、1階と3階の離れた位置に書斎を設置。
1階の書斎はご主人の個室空間。
懸垂器具や昇降式のデスクを配置し、体勢を変えながらも仕事できる環境をつくりました。
3階の書斎は主寝室の一角に半個室として設置した奥さまの空間。
テレビ会議をしていてもお互いの声が影響しないように配慮しました。
・書斎から愛車を眺めるビルトインガレージを実現(静岡市T様)
マイホーム1番の希望としてガレージと隣り合った書斎を採用。
海外のタイルを取り寄せるなど自分好みに設えた空間で英気を養えます。
「疲れて帰ってきても、書斎で車を眺めれば、『よし、明日もがんばろう』と思えるんですよ。」とご主人。 照明・棚・壁タイル、すべてにこだわり、日々愛着が増しているようです。
・クラシカルな雰囲気を漂わせる重厚感あり書斎(葵住宅公園展示場)
リビングと書斎の間にスケルトンの扉を採用し、個室として独立していながらも家族の気配を感じられる仕様になっています。
高級感のある色とインテリアで統一することで、クラシカルな雰囲気を漂わせる重厚感ある書斎に仕上がりました。
書斎レイアウトで気をつけるべき5つのポイント
快適でお洒落な書斎をつくるためには、
- どの位置につくるのか?
- 誰が使うのか?
- 仕事、趣味ほかどのように使うのか?
など、留意しておくべきポイントが複数あります。
レイアウトのポイントを抑えて、理想の書斎を手に入れましょう。
ポイント①設置する場所に気を付けよう
書斎を設置する場所には注意が必要です。
家族が共有して使う空間であればLDKの一角に設置することが望ましいですし、集中して仕事をこなす空間として設置するのであればLDKとは少し離して設置するほうが望ましくなります。
また、テレビ会議などを行う場合は、音の対策も考慮しておきましょう。特にコンパクトな書斎の場合は音が反響しやすいため、注意が必要です。
簡単な対策としては、床にカーペットを敷いたり、壁に布地のインテリアを掛けたりするだけでも効果があります。
ポイント②適切な家具(デスク・本棚ほか)を選ぶ
どのような作業を行うかによって必要な家具の大きさが変わってきます。
特にデスクのサイズは作業効率に大きく影響を与えます。
行う作業 | 幅 | 奥行き |
---|---|---|
読書・勉強・ノートPCのみ利用 | 80cm~ | 45cm~ |
仕事・デスクトップPC | 100cm~ | 60cm~ |
本格的な仕事環境(PC2台以上)・ゲーム | 120cm~ | 70cm~ |
個室として仕事をすることを考えるのであれば幅100cm×奥行き60cm以上のデスクが設置できる環境を確保しておきましょう。
また、カウンターの先端から壁までの距離も90cmは確保するようにしましょう。狭いと立ち座りの度に壁にぶつかってしまいます。
事前に入れたい家具が決まっており、寸法も正確に把握しているようであればその家具に合わせた広さの書斎をつくればいいですが、そうでない場合は造り付けを検討しましょう。
造り付けであれば広さに合わせてデスクや本棚のサイズを調整できますし、地震などで本棚が倒れてくる心配もありません。
ただし、コストが割高になってしまいますので家族で話し合って採用するようにしましょう。
ポイント③夏の暑さ・冬の寒さ対策を考えておく
オープンタイプや半個室タイプであればLDKや寝室などのエアコンほか空調機器により快適に過ごすことが可能ですが、完全個室タイプの場合は注意が必要です。
冬はヒーターなどコンパクトな暖房機器を設置すればある程度は暖まります。
しかし、夏の暑さはどうにもなりません。 数帖の空間のため、エアコンの取り付けまでするか悩ましいところですが、対策として以下の点を考えておきましょう。
- 西日が当たる位置に設置しない
- 大きな窓を設置しない
- 1階に設置する(屋根にあたる日差しの影響を減らす、暖かい空気は家の上部にたまるため)
- エアコンを設置できるよう外壁面に接した位置にする
- エアコンを設置できるような間取り(壁・コンセント)にしておく
- 全館空調を採用する
最初からエアコンを設置しないまでも最低限設置できる準備はしておきましょう。
全館空調であれば、書斎だけに限らず、家全体の空気・温熱環境を整えることができるため、オススメです。
ポイント④窓の配置も考えよう
書斎をつくる場合、窓の配置にも注意が必要です。
窓の大きさ、窓の向き、窓とデスクの関係などによって効率も大きく異なります。
以下のような点を考慮しておきましょう。
・窓の大きさは使い方で変わる
窓の大きさは書斎の広さや使い方によって変わります。
読書をしたりリフレッシュする空間として書斎をつくる場合は、大きな窓にしたりコーナー窓を採用することで開放的にすることが可能です。
あまり広い部屋が取れない場合も、窓を大きくすることで開放感が増します。
しかし、パソコン作業や仕事の場として書斎を設ける場合は、大きな窓はいりません。
壁を多くすることで家具が配置しやすくなりますし、日射が入ることで集中力が低下してしまうからです。
・仕事で使うなら北側窓が望ましい
北側窓からは直射日光が入らず、1日を通して安定した明るさを保つことが可能です。
そのため、まぶしくて作業に支障が出ることなく、温度の影響も受けにくくなります。
一方で注意が必要なのは東西側の窓です。
特に西側は直射が強く、部屋の暑さにもつながりやすいため、注意が必要です。
・窓とデスクの配置も考えよう
窓とデスクの配置も注意が必要です。
窓に背を向けてデスクを設置する場合、窓がパソコンのモニターに反射してしまい見えにくくなってしまうことがあるため、注意しましょう。
一直線にならないように、窓とデスクの位置を少しずらすなど工夫が必要です。
また窓に向かってデスクを配置する場合も注意が必要です。
窓に向かってデスクを配置すると窓の外が気になったり、日差しの向きによってはまぶしさを感じたりしてしまいます。
デスクに対して横に窓を設置しておくと日差しの影響も受けにくく、集中力もそがれにくいためオススメです。
ポイント⑤使用目的によって広さも変わる
一般的には1.5-3帖程度の広さを取ることが多いですが、ベストな広さは使用する目的によって変わります。
例えばデスクと本棚を置くだけの書斎なら、1帖あればつくれます。
しかし、パソコンやモニターなどを複数台設置して作業をするには1帖では足りません。
その場合は2-3帖程度の広さを確保するようにしましょう。
書斎の広さを考える場合、単純に帖数から考えるのではなく、「どういった使い方をしたいか」から考えるようにしましょう。
その他にも考慮しておくべき書斎のポイント
ここまでに5つのポイントを紹介しましたが、そのほかにも以下のような点について考えておくとより理想的な書斎レイアウトにつながるでしょう。
- コンセントの数もきっちり考えておく
- 使いたいデスクや機器に合わせてコンセントの位置や高さも調整する
- パソコンや周辺機器の配線も考慮する(配線孔付デスクほか)
- 使用目的に応じた照明計画を考える
- 書斎のインテリアにもこだわって集中力・作業効率アップ
- 適度に立ち座りできる昇降式のデスクを採用する
まとめ
いかがでしょうか?
書斎は大きく分けて「オープンタイプ」「半個室タイプ」「完全個室タイプ」があり、使用目的によって設置する場所や広さが異なります。
また、窓の配置、家具の選び方、温熱や空気環境も、快適な書斎レイアウトを考える上では重要です。
こちらの記事を参考にしていただき、理想の書斎レイアウトを見つけてください。
セキスイハイム東海では、書斎を含め多くのオーナー様の建築実例を紹介しています。
また、県内の展示場でも様々なタイプの書斎を展示していますので是非その目で確認してみてください。 ご来場お待ちしております。